「本家本元のカマンベールって、どう違う?」ストーリー&美味しい食べ方も。

カマンベール

スーパーマーケットに行くと、必ずと言ってよいほど棚に並んでいるカマンベールチーズ。50年以上も前から国産物が作られてきたこともあり、おそらく日本人にとって、もっとも馴染みがあり、入手もしやすいナチュラルチーズではないでしょうか。

一口にカマンベールと言っても、アルミ缶に入ったもの、プラスチック容器に入ったもの、木箱に入ったもの、紙に包まれたもの、国産、フランス産…とタイプは様々。しかし、その全ての元となっている本家本元は、フランス北西部、ノルマンディー地方、カマンベール村発祥の“カマンベール・ド・ノルマンディー(Camembert de Normandie)”です。

今回は、その“カマンベール・ド・ノルマンディー”を中心にご紹介します。

 

カマンベールってどんなチーズ?

本来のカマンベールは、直径10㎝強、高さ約3㎝の円盤形で、重さは約250g。日本でよく見る国産カマンベールは大体100g位のものが多いので、倍以上のボリュームです。表皮は、白くてやや厚めのカビに覆われ、中の生地は黄色味がかったクリーム色。若いうちは中心に白い芯が見られます。

“カマンベール・ド・ノルマンディー”は無殺菌乳で作られるチーズなので、熟成による複雑な変化もその魅力のひとつ。中心の芯は熟成とともに無くなり、生地は表皮の下から流れるようにとろりと柔らかく、味わいは力強く深く、表皮は茶色味を帯びた色へと変わっていきます。こうした熟成による違いを楽しめるのもカマンベール・ド・ノルマンディーの奥深さです。

カマンベールについては、村のマリー・アレルという女性が発明したとか、マリーがナポレオンに献上したとか、逸話が多いのですが、実のところ、マリーはカマンベールを発明したのではなく、村周辺で作られていたチーズを広めることに貢献したというのが、カマンベール村でのマリーの位置付けのようです。世界中で語られるこうした逸話は、印象的なセールストークとしてカマンベールの販促に一役買ったのでしょう。

 

カマンベールの美味しい食べ方

camembert02

食べる時は、まず冷蔵庫から出して30分以上置き、室温に戻しましょう。カットする時は放射状に。そのままいただいても美味ですが、カマンベールの故郷、ノルマンディー地方の特産品、りんごと一緒にいただくのも定番です。

合わせるお酒は、ノルマンディー地方のりんごの発泡酒“シードル“とともに楽しむのが現地流。もちろん、果実味のある白ワインやフルーティーで軽めの赤ワインと一緒にいただいても美味です。

ちょっと変化のある食べ方を楽しみたい時は、カマンベールを横半分にカットして耐熱容器に入れ、オーブンで焼いてみましょう(レンジでチンでも)。シンプルですが、トロトロに溶けたところをすくって食べるのは、幸せな美味しさ。さらにチーズフォンデュの様に、パンや野菜に溶けたチーズをからめていただくのも美味です。

フランスには“クロッシュ・ア・カマンベール”という、焼きカマンベール専用の容器もあるくらい、加熱するのは最近ポピュラーなので、ホームパーティー等でぜひ活用していただきたい食べ方です。(クロッシュ・ア・カマンベールは、チーズ専門店やネットショップ等で日本でも手に入れることができます)

カマンベール

専用の容器が無い場合は、耐熱容器にカマンベールを入れて焼いても大丈夫。さらに、ハーブや塩・胡椒、はちみつをトッピングして焼くと、ちょっとオシャレで気の利いた一品となります。ひと口ずつに取り分ければ、素敵なアミューズになります。(レシピ・撮影協力:麻布おもてなし教室〜Tresor Table〜)

カマンベール

また、丸ごとのカマンベールをパイ生地で包んで焼いても美味。おもてなし料理に最適です。

カマンベール

 

手頃なサイズ、そして経木の木箱による運搬のしやすさもあって、世界中で愛されるようになったカマンベール・ド・ノルマンディー。その結果、カマンベールを模したチーズが各国で作られるようになり、本家カマンベール・ド・ノルマンディーよりも多く流通しているのはちょっと皮肉なことですが、それもカマンベールの美味しさ、親しみやすさを物語っているようです。

カマンベールは、誰にでも喜ばれるチーズのひとつ。家族や友人と集まって過ごす楽しいひと時に、まずはカマンベール、できればノルマンディー産のものをぜひ取り入れてみてください。

カマンベール・ド・ノルマンディー(Camembert de Normandie)のきほん

  • タイプ:白かびタイプ
  • 原産地:フランス北西部、ノルマンディー地方
  • 原料:牛乳(無殺菌乳)
  • 熟成期間:最低21日間
  • 形状・重さ:直径10.5~11㎝、高さ3㎝、重さ250g以上

 

yuki ogasawara
小笠原由貴(おがさわら ゆき)
恵比寿でパンと料理の教室「la nature(ラ・ナチュール)」を主宰。チーズのある食卓の幸福感、チーズの美味しさ、バリエーション、唯一無二のチーズが生まれる面白さに惹かれ、教室でも折に触れてその魅力を紹介している。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、J.S.A.認定ワインエキスパート、シュヴァリエ・デュ・タスト・フロマージュ。
http://ameblo.jp/naturefoodstyle/

 

カマンベールを美味しく、楽しもう

「本家本元のカマンベールって、どう違う?」ストーリー&美味しい食べ方も。

焼きカマンベールがトロリ。りんごとグリーンを合わせたサラダ|簡単レシピ

カマンベールにあんかけ。洒落た和食の一品に| 簡単レシピ

最新の記事一覧

人気の記事一覧

タグ

このページのTOPへ