7種類のチーズと5種類のお茶。美味しい組み合わせはどれ？《前編》

「チーズにはワイン」と思い込んでいませんか？
普段何気なく飲んでいるお茶とチーズを合わせてみたことはありますか？

アルコールが苦手な方でも、朝ごはんやランチ、おやつの時間など、色んなタイミングで楽しむことができるのが、チーズの魅力。今回は、日常的に飲まれているお茶に色んなタイプのチーズを合わせるテイスティング実験を行い、前編と後編の2回にわたって、ご紹介します。

7種類のチーズと5種類のお茶を合わせる実験

今回の実験で用意したお茶は、＜煎茶・ほうじ茶・烏龍茶・紅茶・抹茶＞の計5種類。前編では比較的穏やかな風味のチーズ3種とのペアリングについて、後編ではより個性的な風味のチーズ4種との相性を探っていきます。

テイスティングの実験には、CHEESE Media編集部のメンバーも参加。それぞれチーズプロフェッショナルやソムリエとしての経験を活かしながら、真剣に向き合うこと2時間。集計として、ペアリングとして評価が高かった順に、5段階で☆をつけてみました。ひとつの参考になればと思います。

おなじみのモッツァレラは、繊維状の生地でシコシコとした食感とミルクの甘味がじゅわっと広がる、優しい味わいが特徴のフレッシュなチーズです。

煎茶　☆☆
ほうじ茶　☆
烏龍茶　☆☆☆☆☆
紅茶　☆
抹茶　☆☆☆

一番の高評価は、烏龍茶。半発酵からくる香ばしさをモッツァレラの持つコクが引き立ててくれました。また、モッツァレラのミルク感を際立たせ、甘味を強く感じることができます。

抹茶と合わせると、モッツァレラの弾力がまるで白玉だんごのように。そしてミルク感が抹茶の旨味を引き立てます。ゆで小豆やきな粉と合わせれば、ほっこり和スイーツが楽しめそうです。ほかに、「爽やかに味わうには、煎茶」という意見もありました。

クリーミーでほんのり酸味があるクリームチーズ。チーズケーキの材料としても使われますし、手に入りやすいチーズなので、みなさんもぜひ。

煎茶　☆
ほうじ茶　☆☆☆☆
烏龍茶　☆
紅茶　☆☆☆☆☆
抹茶　☆☆☆

紅茶と共に味わうと、最初にチーズの酸味を感じ、徐々にクリーミーさが引き立っていきました。さらには、ミルクティーのような余韻も！ジャムやドライフルーツなどの甘味を加えても、素敵なティータイムが演出できそうです。

ほうじ茶の場合、チーズの甘味が感じられ、口の中がもったりしたところで、ほうじ茶の香ばしさが活躍。すっきりと心地良かったです。また「ほうじ茶と合わせる場合、薄焼きせんべいにクリームチーズをのせて食べるのがおすすめ」とのコメントもありました。

期待していた抹茶は「よくある市販の抹茶スイーツのようですね」との意見で一致。

白カビ独特の干し草のような香りと穏やかでまろやかな味わいのカマンベールは、日本でもよく好まれるタイプ。特に殺菌乳のカマンベールはクセが少なく食べやすいので、チーズ初心者の方にもおすすめです。

煎茶　☆☆☆☆
ほうじ茶　☆☆
烏龍茶　☆
紅茶　☆☆☆☆
抹茶　☆☆☆

バランスの良い組み合わせと好評だったのが、煎茶。煎茶の苦味がまろやかになり、「まるで爽やかなアミューズのよう」とのこと。心地良く癒される組み合わせでした。

紅茶の渋味と合わせると、白カビの風味が引き立ち、うま味が口の中に広がりました。チーズの美味しさを紅茶がアシストしてくれる、そんなペアリングでした。

このように、マイルドな味わいのチーズでも、それぞれ寄り添うお茶には違いが出ました。高脂肪のチーズには香ばしい香りのするお茶が合い、穏やかなうま味のあるチーズには、そのチーズの香りに同調するお茶が合うという印象。

後編では、より個性的なチーズと合わせていきます。どうぞお楽しみに。

専用の抹茶茶碗が無くても、大ぶりのお茶碗や小ぶりの丼碗があれば大丈夫。カフェオレボウルも使えますよ。茶筅だけは専用の物をご用意ください。残念ながら泡だて器では点てられません。

◎用意するもの・・・茶碗、茶筅、茶こし

慣れればインスタントコーヒーを淹れるくらい簡単です。ぜひお試しください。

天花寺歩美（てんげじあゆみ）: チーズの多様性や奥深さに魅せられ、日々の生活にチーズを取り入れるなかで、チーズを食材や飲み物と合わせることに関心を持ち、その味わいの変化や相乗効果を探求。茶道の経験を活かし、チーズとお茶のペアリングをテーマとしたセミナーも行う。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、C.P.A. チーズ検定講師、J.S.A.認定ワインエキスパート、茶道裏千家助教授、S.S.I.認定唎酒師。