チーズとパンをつなぐプロフェッショナル 堀田誠さん|ロティ・オラン

Makoto Hotta

チーズを美味しくしてくれるパン。
パンを美味しくしてくれるチーズ。

チーズとパンの美味しい関係を熟知し、プロとアマチュアの架け橋として、多くの“パンの焼き手”を育成されている「ロティ・オラン」の堀田誠さんにインタビューさせていただきました。とっておきのパン焼きレシピも教えていただきましたので、併せてお楽しみください。

 
―まずは、パン作りの道へと進まれたきっかけを教えていただけますか。

「手に職をつけたい、何かのオーナーになってみたい」という想いを学生時代から抱いていました。大学でバイオサイエンスを専攻し、酵母の研究を行っていたのですが、私、お酒が飲めなくて(笑) なので、おのずと食品の方に目が向いていきました。あと、叔母が生化学の研究者で、胃の研究をしていたことも食への道に影響していたように思います。

cheese focaccia

―食品の中でも、なぜ「パン」に?

そうですね。思い起こせば、高校時代の経験がきっかけになっていたように思います。もう一人の叔母が、スイスに住んでいて、短期留学をしたことがあるんですが、そこで初めて食べた黒パンが思い出深くて。ライ麦の酸味のあるパンなんて初体験でしたし、合わせて出てきたブルーチーズやウォッシュチーズにもびっくり。初めは「くさい!」という印象で嫌々食べていたのですが、「ブルーチーズ×くるみ×レーズン×はちみつ×ライ麦パン」の組み合わせに衝撃を受けました。

味の強いものどうしを組み合わせることで生まれる美味しさの気づき。そんな体験から、パンをテーマにしていくようになったんだと思います。

book on german bread

―現在、パン職人ではなく、パン講師になられたのも、何かきっかけがあったのでしょうか。

大きいのは、志賀さん(世田谷「シニフィアン・シニフィエ」のオーナーシェフ)との出会いですね。初めは、言ってしまえば“膨らませただけのパン”を作るような工場で働いていたのですが、志賀さんのもとで学んだのは「味が濃い」と感じるパンでした。

ふと、スイスで食べたパン、相性で生まれる美味しさのことを思い出しました。本来、パンは単体で食べるものではなく、料理や食材と組み合わせて食べるもの。そのうえでの個性や味を大切に考えながら、パンを焼き、提供することがやりがいになりました。

ある時、専門学校で教えないかという話があり、志賀さんから「お前、できるだろ。やってこいよ」の一言。きっと言葉の裏には志賀さんのお考えがあったと思うのですが(笑)

プロの職人を相手に教えるのは、考え方の押しつけになる場面も出てしまうし、ノウハウのみの提供になってしまうこともあります。でも、お金を払ってでも学ぼうという人に、パンの技術や文化を伝えることはとても大切だと感じたんです。

Makoto Hotta

―なるほど。プロとアマチュアの架け橋の仕事ですね。講師をされながら、これからやってみたいことなどもありますか。

講師の活動を通じて、いろいろなバックグラウンドを持った方と知り合う機会も増えました。そうした方々とのコラボレーションを通じて、パンの魅力を伝えていけたら面白そうだなと思っています。

たとえば、器とパンとか、日本古来の発酵食品である味噌や醤油とパンの可能性の追究、さらに生産者とももっとつながりながら、食べ手にいろいろな機会を提案できたらなと考えています。

あと、実は量子力学にも興味が。「溶ける」とか「混ざる」ということを改めて学び、何かできたら面白そうだなと思って、本や雑誌に目を通したりもしているんですよ。

books on food science

―さすが、バイオサイエンスを専攻されていた堀田さんならではですね。最後に、チーズを使ったパン作りや合わせ方について、何か注意すべきポイントやアドバイスがあれば、教えていただけますか。

マスカルポーネやリコッタなどのやさしい風味のチーズは、生地に練り込ませて、一体化させた方が美味しいパンができると思います。いわゆる、チーズ入りのパンを作るには、ウォッシュやブルーなど風味の強いもの、それもゴロッと塊で使うことをおすすめします。

petit boule of cheese

食べるときの組み合わせを楽しむには、先ほどお話ししたような、味の強いものどうしの探究を。強い味わいのあるバゲットには、白カビでも、個性的なブリー・ド・ムランを合わせるとバランスが取れます。キャラウェイシードなどのスパイスが練り込まれたドイツパン×チャイ×マスカルポーネなんていう組み合わせも美味しいですよ。

 
text by 佐野嘉彦(CHEESE Media 編集長)
photographs by 石原哲人

 

yurika-oowada
堀田 誠
パン教室「ロティ・オラン」主宰、「NCA名古屋コミュニケーションアート専門学校」非常勤講師。1971年生まれ。大学時代に生物学の研究室で酵母について学び、パンの道へ。シニフィアン・シニフィエの志賀勝栄シェフに師事。ベーカリーカフェ「オラン」、「ユーハイム」の新規店舗の展開にかかわったのち、2010年、パン教室「ロティ・オラン」を始める。
http://roti-orang.seesaa.net/

 

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