世界3大ブルーチーズのなかではマイルド派。「ゴルゴンゾーラ」のストーリー&美味しい食べ方

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「世界3大ブルーチーズ」とよばれる3つのチーズをご存じですか?

チーズ大国フランスのロックフォール、伝統的なイギリスのスティルトン、そして、食いしん坊の国、イタリアのゴルゴンゾーラの3つが、そう呼ばれています。

ゴルゴンゾーラは、ロックフォールやスティルトンよりもマイルドで食べやすく、また、パスタやピッツァなどの料理でもよく使われるので、日本人にも馴染みがあり、ご存じの方も多いチーズではないでしょうか。

美味しくて、魅力溢れるゴルゴンゾーラの世界を、今回はご紹介します。

 

ゴルゴンゾーラってどんなチーズ?

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ゴルゴンゾーラは、イタリア、ロンバルディア州のミラノから東へ約20kmのところに位置する、ゴルゴンゾーラ村が発祥と言われています。

日本では“青カビチーズ”として分類されることが多いゴルゴンゾーラですが、イタリアでは、“ソフトタイプ”や“ストラッキーノチーズ”として分類されることもよくあります。ソフトタイプはなんとなく分かるとして、では、聞き慣れない“ストラッキーノ(stracchino)”とはなんでしょう?

“ストラッキーノ”とは、イタリア語で“疲れた”を意味する“ストラッコ”が変化した言葉。アルプス山脈を境にスイスと国境を接するロンバルディア地方では、春~初秋はアルプスの山岳地帯で牛を放牧し、晩秋~冬は平地に降りてきて過ごすというスタイルが昔から受け継がれてきました。

そして、牛たちが山から平地に降りてくる途中途中の立ち寄り場所で作られていたのが、このストラッキーノチーズです。山からの移動で疲れた牛(人もですね)のミルクで作られるので、いつしかこう呼ばれるようになりました。

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それゆえロンバルディア州には様々なストラッキーノチーズがあり、地元で消費される名もなきチーズは数知れず…。その中でも、美味しさが知れ渡り生産量の多いストラッキーノチーズには、途中で立ち寄る村の名前などが付けられました。

ちなみに、ゴルゴンゾーラの元々の呼び名は、“ストラッキーノ・ディ・ゴルゴンゾーラ(ゴルゴンゾーラ村のストラッキーノチーズ)”。そして他のストラッキーノチーズとしては、ウォッシュタイプの「タレッジョ」やフレッシュタイプの「クレッシェンツァ」などがありますが、日本ではまだあまり知られていないものがほとんどです。

なお、ストラッキーノチーズの特徴としては、一般に、柔らかくむっちりなめらかな質感のものが多く、味わいは優しくてクリーミー。そしてミルクの風味が豊かです。日本人にも受け入れられやすい味のものが多いので、今後じわじわと人気が上がってくるかもしれませんね。

 

「ゴルゴンゾーラチーズ保護協会」公式Webサイトより(動画)
ナレーションはイタリア語ですが、ゴルゴンゾーラの生産地や製造工程が紹介されています。

 

“甘口”と“辛口”があるゴルゴンゾーラ

ところで、ゴルゴンゾーラには“ドルチェ”と“ピッカンテ(ピカンテとも)”の2種類があるのをご存じでしょうか?

ドルチェとは、イタリア語で“甘い”の意味ですが、別にお菓子のように甘いという訳ではなく、ミルクの甘みを感じる塩味控えめ、優しくマイルドな味わいのことを指します。なめらかな生地は柔らかくクリーミーで、青カビの量も少なめです。“甘口”くらいの感じでしょうか。

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それに対して“辛い”を意味する“ピッカンテ”は、一般にドルチェよりも熟成期間が長く、固く締まった組織で、もろもろっとした感じもあります。青カビがしっかりと入り、そのピリッとピッカンテな風味や塩味、うま味は、青カビ好きも満足させてくれます。なお“ピッカンテ”は、イタリアでは“ナチュラーレ(naturale)”とも呼ばれていて、ドルチェよりも歴史が古く、より伝統的な製法で作られています。

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ゴルゴンゾーラの美味しい食べ方

では最後に、ゴルゴンゾーラの食べ方についてご紹介しましょう。

ドルチェもピッカンテも、どちらもそのままパンやクラッカーにのせて食べても十分美味ですが、そこにはちみつやクルミ、ドライフルーツ、ジャムなどをトッピングすると、より美味しくいただけます。また、チョコレートと熟成したグラッパをあわせて大人のおつまみに…なんていう楽しみ方も。

また、セロリ、チコリ(アンディーヴ)、ラディッキオ、パプリカ、ラディッシュ、きゅうりなどの野菜や、洋梨、イチジク、リンゴなどの果物との組み合わせもおすすめです。なかでも、はちみつ、くるみ、洋梨の組み合わせはイタリアでも定番で、ぜひお試しいただきたいです。

また、よりマイルドに食べたい場合は、マスカルポーネチーズと合わせてみましょう。こちらも定番で、ゴルゴンゾーラとマスカルポーネを交互に重ねて層にしたチーズもあるくらいです。

そして、お料理にも使いやすいのがイタリアチーズの特徴。サラダのトッピングやドレッシングに使うのはもちろん、ピッツァ、パスタ、リゾットなどの加熱調理にもぴったりです。

先ほどの、そのままをパンにのせたものも軽くトーストすると、香りがより広がり、風味にも変化が生まれて楽しめます。

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なお、ドルチェとピッカンテのどちらを使うかはお好みで。

「ブルーチーズはちょっと苦手かな」という方や、優しい味、クリーミーな味が好きな方はドルチェを。青カビの風味がしっかりと欲しい方、メリハリのある味が好きな方は、ぜひピッカンテを選んでみてください。好みで使い分けができるのもゴルゴンゾーラの魅力です。

 

ゴルゴンゾーラ(Gorgonzola)のきほん

  • タイプ:青カビタイプ
  • 生産地:イタリア、ロンバルディア州、ピエモンテ州
  • 原料:牛乳(全乳の殺菌乳)
  • 熟成期間: ドルチェは最低50日間、ピッカンテは最低60日間
  • 形状・重さ: 直径20~30㎝、高さ最低13㎝、重さ6~13㎏

 

yuki ogasawara
小笠原由貴(おがさわら ゆき)
恵比寿でパンと料理の教室「la nature(ラ・ナチュール)」を主宰。チーズのある食卓の幸福感、チーズの美味しさ、バリエーション、唯一無二のチーズが生まれる面白さに惹かれ、教室でも折に触れてその魅力を紹介している。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、J.S.A.認定ワインエキスパート、シュヴァリエ・デュ・タスト・フロマージュ。
http://ameblo.jp/naturefoodstyle/

 

burrata
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