チーズ×ファッションの交差点 | アートディレクター Steve Nakamuraさんに聞く

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「え、チーズが洋服に!?」

チーズLOVERなら目を留めずにはいられないヴィジュアルが、2017年の春夏、原宿に出現しました。

ファッションとアート、そして、チーズ。少しユーモアがあって楽しく、かっこいいクリエイション。

そんなデザインを生み出したアートディレクター、Steve Nakamura(スティーブ・ナカムラ)さんに、今回お話を伺いました。

 

“一歩前”を行く。ラフォーレ原宿のメッセージとして

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今回、なぜ“チーズ”をモチーフとしたヴィジュアル広告を手がけられたのでしょうか?——

2015年から「ラフォーレ原宿」の年間広告メインビジュアルを担当させていただいているのですが、「今、何が流行っているか」という視点ではなく、「“一歩前”を行く」ということを毎回大切に考えています。

場所的にも、ここは原宿・青山・渋谷といった街のカウンターポイント。一見、ファッションとは関係ない、でも確かに日常にある、そんなモチーフを組み合わせることで、カルチャーに新たな視点が芽生え、シンボル的な表現が生まれる。そんな思考を巡らせていくうちに、今回は“チーズ”という題材でチャレンジしてみることにしました。

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どこか少しユーモアも感じるうえに、かっこいい。そんな印象を受けました。制作においても何か絶妙なバランスがあるんでしょうね。—— 

そうですね。今あるトレンドに偏りすぎず、かと言って、今という時代と乖離したアートの世界に走りすぎてもいけない。パッと見て、瞬時に何かを感じてもらえる。そんな要素も必要ですから。

日常と非日常という点でも、ギリギリのバランス、調和に挑戦するという意識は、こういうヴィジュアル表現においては大切なことだと思います。

 

これまで制作されたものから、ほかにもそんな作品をご紹介いただけますか?——

こちらは2015年春夏のメインビジュアルです。

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ラフォーレ原宿は、色んなタイプの人たち、スタイルが集まり、互いに刺激し合う場所だと思います。言わば、日常と非日常の交差点、ですね。

私は具体的で、限定的なイメージをを与えすぎないよう、人をモチーフにすることは少ないのですが、このヴィジュアルは、人で植物や木、そして生物が生活しているようにルースに表現。異なるタイプの人やスタイル、形、カラー、テクスチャーをひとつに融合することで、同じ場所で影響し合い、バランスをとりながら生きている。そんな表現にチャレンジしました。

 

日常のモチーフを使いながらの表現とバランス。なんだかチーズを使った今回のヴィジュアル広告とも共通するものがありますね。ちなみに、“チーズの洋服仕立て”のヴィジュアルを制作されるにあたって、何か工夫されたことはありますか?——

そうですね。まず、洋服の生地のように見えるということが大切なので、チーズは“スライスできるもの”をセレクトしました。軟らかすぎたり、ボロボロと崩れてしまうテクスチャーのチーズはダメ。だから、ブルーチーズやシェーヴルチーズは、モチーフにしていません。

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実際に、制作に入る前に、チーズ専門店にも行き、いろいろと買い集めて研究しましたよ。

スライスが可能で、色や形状といった見た目のバリエーションもほしい。そんな観点から、オレンジ色の「レッドチェダー」や、マーブル模様の「コルビージャック」、ハラペーニョ入りの「ゴーダ」、そして、チーズのデザインアイコンとして欠かせない穴あきの「エメンタール」などを採用しました。

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『トムとジェリー』でもおなじみの穴あきチーズ、エメンターラー(エメンタール)はスライスして、オープンサンドにしても美味しい。

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中央のマーブル模様のチーズが「コルビージャック」。アメリカ発祥のチーズで、白っぽい「モントレージャック(カリフォルニア州)」とオレンジ色の「コルビー(ウィスコンシン州)」をそれぞれ混ぜて圧搾して作られる。ちなみに、右下のレッドチェダーもコルビーも、オレンジ色をしているが、これはアナトーという天然色素によるもの。

 

実際の制作では、それぞれのチーズを撮影し、ターポリン※という素材に印刷して、洋服の形状に造型。表面に油を塗って光沢を出したりという工夫もしています。

※ターポリン:ポリエステル製の布地に合成樹脂フィルムを貼り付けて、製作されたビニール系の生地のこと

 

本物でないけれど、なんだかリアリティを感じるという、絶妙なバランス。チーズの特性にも向き合うところがすごいですね。ちなみに、個人的にもチーズはお好きなんですか?——

好きですよ。ロサンゼルスで生まれて、まさにアメリカの西海岸エリアで育ったんですが、チーズの専門店もありますし、種類が豊富なスーパーマーケットも結構あります。個人的は、ハヴァティ(デンマーク原産のセミハードチーズ)やチェダータイプのチーズが好きで、よく食べます。

 

最後に、今後の活動のことを少し教えてください。——

2017年の秋冬のヴィジュアル広告は、このチーズの続編のようなものを手がけました。テーマは「TRANSFORMATION(変身、変化)」。今度はメタル(金属)をモチーフにしています。

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ちなみに昨年は、食品サンプルをモチーフとした写真集を発売し、個展も開いたのですが、とてもいい経験となりました。

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FOODというテーマはみんな関心が高いものですし、私も大好きなので、これからも何か“食”にこだわった作品やプロジェクトには携わっていきたいですね。

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写真集『NEARLY ETERNAL』

 

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STEVE NAKAMURA (スティーブ・ナカムラ)
アートディレクター

1973年、ロサンゼルス生まれ。東京で活動。CENTRAL SAINT MARTINS 卒業。2015年からラフォーレ原宿の年間広告メインビジュアルのアートディレクターを務める。きゃりーぱみゅぱみゅのCDジャケットは、2011年のデビューから2016年までの5年間アートディレクションを担当。2016年に作品集『KYARY PAMYU PAMYU ARTWORKS 2011-2016 STEVE NAKAMURA』をアイデア SPECIAL EDITION/誠文堂新光社より刊行し、ラフォーレミュージアム原宿で展示会を実施。2016 年に食品サンプルに関する写真集『NEARLY ETERNAL』をCLAIRE DE ROUEN BOOKS で出版。T: THE NEW YORK TIMES STYLE MAGAZINE、アイデア、WALLPAPER*などにも作品が掲載された。

http://www.stevenakamura.com/

https://twelve-books.com/products/nearly-eternal-by-norbert-schoerner-steve-nakamura-second-edition

 

取材協力:ラフォーレ原宿

 

interviewed by 佐野嘉彦(CHEESE Media 編集長)

 

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