「食の循環」とともにある美味しさ。パルマのチーズ&ハムを楽しもう。

イタリアを代表する食品であるパルミジャーノ・レッジャーノとパルマハム。

いずれも長い歴史を持ち、原産地と深く結びついた DOP(原産地呼称保護)製品ですが、熟成によるうま味がギュッと詰まった食材ですので、日本の食卓にも馴染む美味しさがあります。

食文化研究家として日本とイタリアの食文化交流に尽力されている北村光世さんに、それぞれの魅力と日本の食卓にぴったりな食べ方を教わりました。

北村光世(きたむら みつよ)

食文化研究家。世界各国、特に地中海諸国を中心とした食文化の研究に専念。特にイタリアのパルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノへの思いと造詣は深く、2003年パルマに日伊文化交流センターを設立。「自然とともに作られた食品をできるだけ良い状態で食べる」をテーマに、イベントや料理教室を開いている。『パルマ!イタリアのおいしい!が生まれる街』(マガジンハウス)など著書多数。

 

自然と人が作りあげる。

かち割り、スライス、削り節状、と提供する形状によって食感や風味が大きく異なるパルミジャーノ・レッジャーノ。長い熟成期間を要しながら、また厳しい品質管理を経て、日本にやってくるチーズであることは、このCHEESE Mediaでも以前ご紹介しました。

パルメザンと一緒!?「パルミジャーノ・レッジャーノ」のストーリー&美味しい食べ方

ミルクからチーズを製造するときには、大量のホエー(乳清)が排出されます。このホエーを主原料にリコッタなどのチーズも作られるわけですが、使われない分を処分しようとする場合、産業廃棄物となることは一般的にはあまり知られていません。

イタリア中部にあるパルマの地では、パルミジャーノ・レッジャーノを製造する際に排出されるホエーを豚に与え、良質な豚肉を得て、美味しいハムが作られる・・・。いわゆる「食の循環」が、長い歴史の中でごくごく自然に行われてきたのです。

パルミジャーノ・レッジャーノとパルマハムの美味しさは、自然と人が作りあげた賜物。古来、私たち日本人が自然とともに食文化を築きあげてきたことと根本は同じ。現代社会の中で危ぶまれる「食の安心・安全」ということを見つめ直すためにも、日常の食卓での気軽な食べ方は知っておきたいところです。

 

シュワシュワしたランブルスコは、最高のパートナー

パルマハムは、モモの付け根の乾燥した部分、脂がのって赤身とのバランスが良くしっとりした部分、スネに近い濃厚でねっとりした部分・・・など部位別の特徴を理解することでスライスの厚みや食べ方を変えるなどの応用が可能です。

同郷でつくられるワインとの相性が良いということは、定番のことですが、まさにブルーベリーや熟したチェリーのような果実味がしっかりとある赤のスパークリング、ランブルスコは最高のパートナー。

パルマハムの塩気とパルミジャーノ・レッジャーノのうま味がグッと口の中で広がったところに、シュワシュワっと一口・・・シンプルで、簡単。でも、このシンプルななかにある確かな美味しさが、いかにもイタリア的と言えるかもしれません。

 

パルミジャーノ・レッジャーノごはん

炊いた白米にオリーブオイルを和えて、パルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりと削り下ろす・・・とても簡単ですが、日本人の心をくすぐる一品です。

抗酸化作用のあるオリーブオイルは、もちろんエクストラヴァージンで、品質の良いものを。昨今話題になることも多い、白米を食べた時の血糖値の上昇も、オリーブオイルでコーティングされることで、緩やかになるとか。

また、長期熟成してアミノ酸分解が進んだパルミジャーノ・レッジャーノは、吸収しやすい良質なたんぱく質が豊富。健やかに、美味しく食べるヒントがまだまだありそうです。

 

パルマハムの手巻き寿司

さらに身近な日本の食材を使って家庭でも簡単に作ることができる創作料理を、もう一品。

「パルマハムの手巻き寿司」は、具材をいろいろと楽しめ、家族団欒にも最適です。北村さんがこの日ご用意されたもので、特に印象的だったのは、わさび菜。清涼感ある香りとピリッとした刺激は、おろしわさびよりやさしく、食感も楽しい具材でした。

酢飯にも、ひと工夫。通常の甘みの強いすし酢ではなく、この日は赤玉ねぎのみじん切り、ビネガー、オリーブオイルを使用。「イタリア風酢飯」とでも言ったら良いでしょうか。細かに削ったパルミジャーノ・レッジャーノも加えて巻いてみても美味。焼き海苔の磯の香りも伴って、まさに山海の幸といった味わいでした。

 

パルミジャーノ・レッジャーノの固いところも美味しく

パルミジャーノ・レッジャーノは、直径35〜45cm、重さは30kg以上もある大きな熟成チーズ。周りの部分は固い皮のようになっていますが、ここもチーズの栄養素と美味しさがギュッと詰まった部分です。

ただ、そのまま食べるのはちょっと難しい・・・そこで、スープや煮込みのときに砕いたものを入れたりするのですが、オーブンでグリルして食べるという楽しみもあります。

熱々のところを、パクリ。「今まで固くて捨てていた」という方は、ぜひ香ばしいおつまみとして一度お試しください。

 

かち割りパルミジャーノ・レッジャーノとクルミとバルサミコ

食後の一品に、おつまみにもぴったりな食べ方を、もう一つ。

ゴロッとカットしたパルミジャーノ・レッジャーノとローストしたクルミに、熟成による甘みがあるブラックバルサミコ酢をたらりと・・・。この味わいのハーモニーは絶品。熟成感のある赤ワインはもちろん、ビールやウイスキー、しっかり樽熟成させたグラッパなども合いそうです。

アルコールが苦手な方は、エスプレッソやカフェモカなどで美味しくペアリングできると思います。

 

パルミジャーノ・レッジャーノとパルマハムが文化を超えて日本で愛される理由は、その伝統と品質、安全性のみならず、熟成食品特有のうまみたっぷりの美味しさ、日本の食生活にも取り入れられる手軽さにあると言えます。

時にはその背景にある歴史や食の循環に思いをめぐらせ、「良い加減」で自由な発想を持ちながら料理を作り、日々のテーブルでその美味しさを体験していければと思います。

 

協力:パルマハム協会パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会
 
text and photographs by 佐野嘉彦
 

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