朗らかな笑顔とともに、美味しいチーズを神楽坂から。森 節子さん|アルパージュ

「この店でナチュラルチーズの美味しさに目覚めました!」というチーズLOVERも少なくないはず。

2000年9月のオープン以来、対面販売にこだわり、お客様とのコミュニケーションを大切にするチーズ専門店が、東京・神楽坂にあります。

チーズ初心者からプロの料理人に至るまで、多くの人の信頼を集めるその理由とは?チーズへの愛情にあふれ、温かな雰囲気に包まれた「アルパージュ」の店主、森節子さんにインタビューさせていただきました。

 

「もっとチーズの近くにいたい」

―この店を始められたきっかけは何だったのでしょうか。

もともとは、チーズを食べるのが好きな普通の会社員だったんです。好きが高じて、当時チーズのことが学べた「チーズ&ワインアカデミー(現在は閉校)」に通い、そこでチーズの奥深さに魅せられていきました。

「もっとチーズの近くにいたい」という想いが募り、チーズショップに転職。そこで、チーズは熟成や管理などの状態によって味が全く変わってしまうものだということを痛感し、「チーズの美味しさを手渡しするように確実に伝えたい」という想いから、自分でも輸入し、販売する店を持ってみたいと考えるようになりました。

―チーズショップに勤務していたとはいえ、自分で一から手がけるとなるとかなり大変だったのではないですか。

当時は「チーズが大好きで楽しい!」という気持ちが勝っていたので、あまり大変でつらいという感じでもなかったんですよ。でも、流通や輸入に関する知識もまったくなかったので、とにかく体当たり。役所はもちろん、いろいろなところで壁にぶつかりながらも、フランスやスイスの山小屋を訪ね歩いたりしながら、一つひとつクリアしてきた感じです。

―「アルパージュ」という名前で、なぜこの神楽坂という街でオープンされたのでしょうか。

いろいろと訪ね歩く中で、最初に私の想いが伝わったのが、ボーフォールを作っていたフランス・アルプスの山小屋のチーズ工房でした。「アルパージュ(Alpage)」とは“夏の山岳高地放牧”という意味があり、標高1,500m以上の山小屋でさまざまな規定のもとで作られたボーフォールは「アルパージュの山小屋のボーフォール(Beaufort Chalet d’Alpage)」と呼ばれます。その思い出深い名前を店名にしました。

場所は、初めからこの神楽坂か広尾でと考えていました。当時は今よりもナチュラルチーズへの関心が高まっていなかったので、食いしん坊が集い、食べ慣れている外国人も多い街で、と。物件探しも体当たりでしたが、ある日この物件と出合った、そんな感じでした。

 

日本のチーズが、ナチュラルチーズの裾野を広げる

―フランスやスイスだけでなく、世界各国のチーズがありますが、日本のチーズもありますね。日本で作られているチーズはどんな特徴がありますか。

一口に“日本のチーズ”と言っても様々ですが、全体的には穏やかな風味で、素直な味わいのチーズが多い印象です。一方で、伝統的なチーズ生産国ではないがゆえに、作り手の皆さんの情熱がすごい!そんな想いもお客様に伝えたいと日々心がけています。

「フランスのチーズはちょっと苦手・・・」という方が、日本のチーズを食べて、ナチュラルチーズが好きになってくれることもあります。もちろん「フランスのチーズがとにかく大好き」という人にも、日本のチーズの美味しさを知ってほしいと思っています。

―CHEESE STANDのモッツァレラも販売していただいていますね。

フレッシュタイプのチーズは、“出来たて”ということに価値があります。しかも同じ東京で作られているので、届けてもらえるのも早い。だから、お客様に新鮮でジューシーなモッツァレラの美味しさを伝えられるうれしさがあります。

モッツァレラはシンプルなチーズだからこそ、安定した品質のものを常に作るのは難しいと生産者の皆さんがおっしゃいます。その点でも、CHEESE STANDは毎日作り続けていて、名前もすでに認知されてきているので、説明しなくてもポンと手にとってくれるお客様が多いんですよ。

 

チーズは最後まで美味しく食べてほしい

―最後に、家庭でも出来る、チーズの手軽な食べ方をご紹介いただけますか。

「パーティのために用意したけれど食べきれず・・・」とか「この料理にはこのチーズということで買ったけれど全部使い切れなくて」といったチーズは、ブレンドして活用しましょう。

本当に簡単なところで言えば、余ってしまったご飯(冷やご飯)の真ん中にチーズを入れて、レンジで温めるだけでも美味しい“チーズごはん”になります。私はペンネに使うのが好きなのですが、他にも、茹でたじゃがいもにかけたり、チーズトーストにしたりと、気負わずに楽しんでほしいと思います。

チーズは、酪農家の皆さん、牛や羊、山羊などの動物、そして私たちが生きる自然環境と直接つながっている食品。さらに、良質なタンパク質やビタミンなどの栄養も豊富ときているのですから、最後の最後まで無駄なく、美味しく食べきりたいですね。

 

森 節子さん

チーズ専門店「アルパージュ」店主。長野県出身。会社員時代に「チーズ&ワインアカデミー」で1年ほど学んだ後、チーズ会社に転職。2000年9月に現店を開業。チーズプロフェッショナル協会理事も務める。シュヴァリエ・デュ・タストフロマージュ・オフィシエ(フランスチーズ鑑評士)、ギルド・デ・フロマジュ・ギャルド・エ・ジュレ(チーズ専門卸販売)、J.S.A.認定ワインエキスパート。

普段思っていること:チーズはみんなのもの。テーブルにもっとチーズを。基本知識が分かればチーズは自分で選べる、楽しめる!

 

チーズ専門店 アルパージュ
http://www.alpage.co.jp/

東京都新宿区神楽坂6-22
tel. 03-5225-3315
営業時間/11:00~19:00(金・土 ~20:00)

 
text by 佐野嘉彦
photographs by 石原哲人

 

シリーズ《CHEF’S VOICE》
チーズを料理に生かす、プロフェッショナルたち。

https://cheese-media.net/?cat=32

 

mozzarella
「出来たてモッツァレラ」はFRESH CHEESE Delivery(オンラインショップ)で
真っ白でぷるん、つるん。
東京・渋谷で作られるフレッシュなモッツァレラはミルク感もあって、料理にも最適。オンラインショップでもお求めいただけます。
http://fcd.cheese-stand.com/

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