チーズはミルクのお漬物!?チーズのきほん、教えます。

cheese plateau

「チーズの主な原料は何でしょう?」と訊かれたら、あなたは何て答えますか?
「牛乳」・・・?

そう、でも“牛”のミルクだけではありません。他にも、山羊、羊、水牛、さらに、ラクダやヤクなど、いろんな家畜のミルクからチーズは作られています。

世界には星の数ほどたくさんの種類のチーズがありますが、その原料となるミルクはどれも、もともと家畜たちが子供を育てるために生み出している、言わば“母の愛”。

そう、すべてのチーズは、お母さんの愛から生まれた食べ物なのです。

 

チーズは美味しくて元気が出る!

ミルク缶

人とミルクの付き合いは長く、小さな家畜たち、つまり羊や山羊乳製のチーズは、世界で最も古い加工食品とも言われています。かのクレオパトラもチーズを好んだ、というのですから相当な歴史です。

水分と栄養がたっぷり詰まったミルクはそのまま放っておくと腐ってしまう・・・どうにかして運んだり、固めて保存することが出来ないかな、と考えた昔の人たちが知恵を絞って編み出したのが、チーズです。

ミルクから水分を除いて、美味しい栄養をギュウっと塊にして、持ち運びも出来るようにしたチーズが生まれたのは、遠い遠い昔の西アジア。運べるチーズは、山羊や羊たちを飼う暮らしと共に、西へ東へと広がっていきます。

goat

やがて人々は山羊や羊だけでなく、より大きな体をした牛を飼い、多くのチーズが作られるようになりました。日本へは明治初めにチーズ作りの種が蒔かれ、製法を受け継いだ先人たちの手から手へ伝えられ、今日、全国のチーズ生産者が、日々切磋琢磨して美味しいチーズを生み出しています。

今、私たちが親しんでいるチーズには、長い歴史があり、人の知恵と工夫が詰まっています。何千年もの時を経て、今もなお、人とミルクのある暮らしが続き、チーズが愛されている理由・・・それは、「チーズが美味しくて元気の出る食べ物」だからなのでしょう。

 

チーズのきほんは、至ってシンプル

cows

チーズの基本的な原材料は「美味しくて新鮮なミルク、塩、乳酸菌、酵素」。

ぷるん、つるんと丸いモッツァレラも、白くてふわっと美しいカマンベールも、ちょっと青いもじゃもじゃが生えたゴルゴンゾーラも、基本はみんな一緒。不思議だと思いませんか?真っ白なミルクの一滴からこんなにいろんなチーズができるなんて。

では「美味しくて新鮮なミルク」はどうやって生まれるのでしょう。ここがチーズの要です。

人に優しくされている元気なお母さん牛が、子供を産んで、たっぷり美味しい草を食べ、水を飲み、幸せに暮らしていると、美味しくて新鮮なミルクがもらえます。本来は子牛にあげる予定の、愛あるミルクを私たち人間は分けてもらって、チーズは作られているのです。

 

ミルクの一滴一滴が集まると・・・

ミルクからチーズへ

そんなミルクから美味しいチーズをつくり出す仕組み、つまり「製法」は、色や形、味わいとバラエティあふれるチーズの種類の数だけ様々ですが、その原理は、少し複雑で、ちょっとした魔法のよう。

生まれたての牛や山羊や羊たちがお母さんのおっぱいを飲み、その栄養で子牛たちが成長する過程が、チーズ作りにおける“はじめの魔法”の正体です。

ちょっと難しいところですが、想像してみてください。

子牛がお母さんのおっぱいを飲むと、子牛の胃袋の中にある酵素でミルクは固まります。固まったミルクがお腹にある子牛たちは、ミルクを飲んでいない時でも体中に栄養を送ることができるのです。まるで、いつも栄養満点のチーズがお腹の中にある状態になるのですね。

この、子牛たちの体の中で起こっている「ミルクが固まる仕組み=消化吸収の仕組み」を応用して、チーズは今も作り続けられています。たとえば一日で出来上がるフレッシュモッツァレラも、時を待って美味しくなるゴーダチーズも、「ミルクを固めて水分を除く」という原理は一緒。

瑞々しいフレッシュチーズはミルクの浅漬け、大型チーズはミルクのお漬物、と言ったらわかりやすいでしょうか。

チーズプラトー

「ミルクを固める」ことを発見した私たちは、何千年という時をつないで、保存性に優れ、美味しく、見た目の楽しさも追求された、バラエティ豊かなチーズを手に入れることが出来るようになりました。魔法のように生まれ育ったチーズを今、気軽に楽しめるということは、本当に幸せなことです。

「さあ、今日はどんなチーズを食べようかな。」

そんな時「大昔の人たちもチーズを食べていたんだ。スライスチーズもカマンベールもモッツァレラも、みんな愛から生まれたんだ」と思って見ると、チーズがもっと美味しく、近しく、楽しく感じることが出来るかもしれませんね。

※参考文献 『つくってあそぼう 7 チーズの絵本』(社団法人 農山漁村文化協会)

 

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大和田百合香(おおわだ ゆりか)
2001年より1年数か月にわたり、フランスやイタリアのチーズ産地を訪ね歩き、帰国後「BonBon! FROMAGE!」の名前でチーズを楽しむ会を主催。チーズ王国本店に勤務しつつ、ライフワークである国産ナチュラルチーズの工房を訪ねて北へ南へ。二人の男児育児にも奮闘中。東京農業大学栄養学科卒。CPA認定チーズプロフェッショナル、JSA認定ワインアドバイザー、フランスチーズ鑑評騎士の会シュヴァリエ。

 

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