【&なCraftsmanとProducts】「純胡椒」に込められた、仙人とインドネシア、そして日本的な感性のマリアージュ |仙人スパイス・仙人さん

CHEESE STANDで取り扱っているプロダクトの生産者の方々をお招きし、プロダクトに込めた熱い想いや背景を語っていただく「&なCraftsmanとProducts」。

コロナ禍に掲載を開始し、随分と間が空いてしまいました。

今回は、CHEESE STANDの夏の定番商品「東京白カビチーズ〈純胡椒味〉」に欠かせない、あの弾けるような生胡椒を手がける「仙人スパイス」の高橋仙人さんにお話を伺います。
インドネシアの豊かな自然と、日本の繊細なものづくり精神を融合させて「純胡椒」を世に送り出した高橋さんに、その誕生秘話から圧倒的な製品へのこだわり、そしてCHEESE STANDとのコラボレーションについて、じっくりとお話を伺いました。

 

「純胡椒」と「仙人スパイス」の誕生ストーリー

事務職からスパイスの世界へ:インドネシアとの出会い

現在でこそ「スパイスのスペシャリスト」として知られる高橋さんですが、もともとはオフィスワークをこなす事務職の会社員。そんな高橋さんの人生を大きく変えたのが、東南アジア、特にインドネシアとの出会いでした。現地の温かな文化や豊かな自然にすっかり魅了され、頻繁に足を運ぶようになったと言います。

インドネシアについて話を進めていくと
–綺麗な風が吹いてくるところにはヴァニラが咲いていた。
–地域ならではの美味しさ香りがそこにはあった

と語る高橋さん。
どんな話が聞けるだろうとみたことも行ったこともないインドネシアを想像し心が躍ります。

当初は旅のお土産として現地のスパイスを周囲に配っていましたが、次第に「もっとこの土地の素晴らしい素材を活かして、独自の付加価値をつけたものを作れないか」と考えるようになります。そんな折に出会ったのが、フランス土産の「生胡椒」。その土産品は塩味と少しの酸味があり、がピクルスのようなものでした。まずはトライ。色々な手法でどう生胡椒の良さを伝えられるか試行錯誤したといいます。
インドネシアの極上の胡椒を使い、自分にしか作れない製品開発へと乗り出すことになります。

日本の「漬物」文化の融合

開発にあたり、高橋さんが取り入れたのは、日本人に古くから馴染み深い「漬物」の製法でした。欧州の生胡椒にありがちな強い酸味を抑え、胡椒本来のダイレクトな風味と食感を活かすため、試行錯誤の末に「塩水漬け」というアプローチにたどり着いたのです。

日本人が好む「プチッ」とした心地よい食感と、目にも鮮やかな美しい緑色をいかにキープするか。
その鍵は、胡椒の実が完全に熟す前の、まさに「ベストな一瞬」を見極めて収穫し、絶妙な塩水に漬け込むことにありました。日本人の食感や旬のものを美味しく味わう文化、素材の段階を見極め、細部にまで徹底的にこだわる——そこには、日本人のDNAに組み込まれた繊細な感性が息づいています。

屋号「仙人スパイス」に隠されたユーモラスな由来

一度聞いたら忘れられない「仙人スパイス」というユニークなブランド名についても伺いました。実はこの名前、前職のIT企業時代に生まれたニックネームなのだそうです。

当時、職場にはもう一人、非常に厳格な「高橋さん」という上司がいました。同僚たちが2人の高橋さんを区別するために、高橋さんを「仙人」と呼び始めたのが始まり。その愛称が気づけば10年近く定着。独立して自身のブランドを立ち上げる際、「誰もが覚えやすく、どこか『職人のこだわり』や『特別感』を連想させる素晴らしい響きだ」と確信し、そのまま屋号として採用しました。

製品のこだわりと、メイドインインドネシアでの一貫生産背景

同じ木から生まれる、異なる個性

一般的に知られる黒胡椒や白胡椒、そして髙橋さんが作る「純胡椒」ですが、実はすべて同じ胡椒の木から収穫されることをご存知でしょうか。その違いは、収穫のタイミングと加工方法にあります。

圧倒的な鮮度を追求する「2交代加工体制」と産地リレー

「純胡椒」の命は、何と言ってもその鮮度と収穫のタイミングです。高橋さん自らがインドネシアの現地に長期間滞在し、収穫から塩水漬け加工、そして厳格な検品にいたるまで一貫して管理を行い、最終的な完成品として日本へ輸入しています。

純胡椒に適した緑の胡椒は旬が短く、一箇所の産地ではたくさん生産出来ないため、いくつかの地域で生産しています。

インドネシアは東西に長い国で、季節は西から変わっていきます。この動きを利用して、東カリマンタン、東ジャワ、スラウェシと西からの季節の動きに合わせながら、旬をとらえながら生産しています。
収穫時期が少しずつずれる複数の産地を自ら移動する「産地リレー」を敢行しているのだとか。

さらに驚くべきは、現地での徹底した加工スピードです。収穫したその日のうちに加工を終えるため、現地のスタッフを収穫チームとは別に「夜のチーム」「朝のチーム」の2体制に編成。24時間体制で鮮度を落とさずに塩水漬け処理を行います。この執念とも言えるプロセスが、あの美しい緑色と弾ける食感を生み出しているのです。また、この一貫生産体制は、現地での継続的かつ安定した雇用創出にも繋がり、インドネシアの地域社会へ深く貢献しています。

実は、海外で生産されたものを原料として輸入し、日本で製品化した場合、生産国に支払われるお金は意外と小さいという実情があることを皆様はご存じですか?
また、海外で最終製品にしない理由として「衛生面や品質管理が難しい」という声もよく耳にしています。

しかし、インドネシアで手伝ってくれる友人たちにちゃんと還元したいと考え、日本人の目線で自分がしっかり関われば衛生も品質もクリアー出来るのではないかと考え、「メイドインインドネシア」にこだわる高橋さんでした。

CHEESE STANDとの関係と、計算された「わびさび」のバランス

チーズ職人柳平の共感から始まった、夏の風物詩

この極上の「純胡椒」と、CHEESE STANDが出会ったのは必然だったのかもしれません。共通の友人を通してCHEESE STANDのチーズ職人である柳平が高橋さんと出会い、その圧倒的な製品開発ストーリーと、ものづくりへの並々ならぬこだわりに深く共感したことがきっかけでした。「この素晴らしい胡椒を使って、今までにないチーズを作りたい」という職人の強い想いから、コラボレーション商品の開発が一気に加速しました。

滑らかな白カビの中で引き立つ、絶妙な「余白」の美学

こうして誕生した「東京白カビチーズ〈純胡椒味〉」は、今や夏の定番として確固たる人気を誇っています。お客様から特に高く評価されているのが、滑らかでクリーミーなチーズの質感と、純胡椒の「プチッ」と弾けるユニークな食感のコントラスト。

この完成度について、作り手である高橋さん自身も深く感心していると言います。

「チーズに対する胡椒の量が、多すぎず、少なすぎず、本当に絶妙なんです。ミルク(牛乳)」のコクや甘みとの相性にも驚きました。胡椒が主張しすぎることもなく、かといってチーズに埋もれることもない。日本的な『わびさび』や『余白』を感じさせる完璧なバランスで、柳平さんの絶妙な味のコントロールには本当に驚かされました」

食卓を彩る「純胡椒」の可能性とおすすめの愉しみ方

最後に、高橋さんに純胡椒のさらなる楽しみ方について教えていただきました。純胡椒は、ビネガーなどの強い酸味を持つ調味料とはお互いの個性を消し合ってしまうためあまりお勧めしませんが、それ以外の幅広い料理と驚くほど調和します。

  • シンプルにそのままで: 最高のクラフトビールや白ワイン、純米酒のつまみとして、一粒ずつゆっくりと。
  • おにぎりや肉料理に: 白米の甘みや、ジューシーなお肉の脂の旨みを、純胡椒の爽快な香りが引き立てます。
  • 意外な組み合わせ「たこ焼き」: 出汁の効いた生地に純胡椒を乗せると、ソースとは一味違う洗練された味わいに変化します。

プチッ。カリッ。ピリッ。

インドネシアの大地が育んだ極上の胡椒に、日本の「漬物」文化にインスパイアされた繊細な感性を融合させて生まれた「純胡椒」。高橋さんが現地のスタッフと共に24時間体制で守り抜く圧倒的な鮮度と情熱が、CHEESE STANDの職人技と出会うことで、私たちは毎年最高の形でそのマリアージュを堪能することができます。

ひとくち齧れば、東京、そして遥かカリマンタン島の風が吹き抜けるような特別な体験。今年の夏も、ぜひ「東京白カビチーズ〈純胡椒味〉」を、お気に入りのワインや大切な人との豊かな時間と共にお楽しみください。

純胡椒|仙人スパイス

純胡椒 いつもの料理にのせるだけ、そのまま食べる生胡椒摘みたての緑の胡椒を『純粋』に楽しむために、収穫したての胡椒を新鮮なうちに房ごと塩水漬けにしました。生の胡椒の食感をそのままに、フレッシュなはじける風味をどうぞ。

【原材料】 生胡椒、塩、
【内容量】 35g / 内容総量 130g
【原産国】 インドネシア

 

text by 米田望

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