口の中で完成する味。日本酒とチーズのプロが教える美味しいペアリングとは?

「日本酒とチーズって合うんですか?」

日本酒もチーズも発酵食品。「日本酒はいろいろなお酒の中でも、アミノ酸含有量が圧倒的に多い。だからチーズにも合うんです。」とは、日本酒のプロフェッショナル「GEM by moto」の千葉麻里絵さん。

チーズプロフェッショナルと日本酒のプロフェッショナルによるコラボレーションから生まれた「みなさんに味わってほしいおすすめのペアリング」を、今回はご紹介します。

 

フルーティーな吟醸酒に、2種のチーズを。

日本酒と相性が良いとされる定番のチーズに、ウォッシュタイプのチーズがあります。

ウォッシュチーズと言えば、納豆のような個性的な香りが特徴。まさに納豆菌と同じ仲間のリネンス菌という菌の力を借りて熟成をさせるのが、このタイプのチーズです。

日本酒が、干物や塩辛などの発酵食品、においの強い食べ物にもよく合うのはみなさんもよくご存じのこと。ウォッシュチーズも同様です。

なかでも、においは強めでも、食べてみるとやさしいミルク感をともなって食べやすいという、フランス・アルザスの「マンステール」はおすすめ。最近人気のフルーティーで華やかな吟醸酒を口に含めば、ぴたりと寄り添います。

今回、用意したのは「鳳凰美田 Black Pheonix」という栃木県小山市でつくられる純米吟醸酒(精米歩合60%)。クリアで華やかな香りがあり、ブラック&ゴールドのラベルもかっこいい限定酒です。

吟醸酒に合わせて「これは!」と千葉さんも唸ったチーズは、フランスのA.O.P.(原産地名称保護)チーズで生産量No.1を誇る「コンテ」の18ヶ月以上熟成したもの。

熟成によって凝縮したうま味と、パイナップルやヘーゼルナッツなどの複雑な香りが口に広がったところへ、純米吟醸酒を一口・・・。「口内調味」で、そのうま味や香りが何倍にも広がるのが感じられます。余韻も長いので「ああ、美味しい」という幸福感や満足感が高まるペアリングなのです。

 

甘やかな貴醸酒にも、定番とちょっと驚きの2つの楽しみを。

貴醸酒という種類の日本酒は、ツウの方でないとあまりご存じないかもしれませんが、一度飲むとハマってしまう!そんな酒かもしれません。

通常の日本酒は水で仕込んでつくられますが、水ではなく、日本酒で仕込んでつくられるのが「貴醸酒」。ちょっと特別なつくりのものですので、「貴醸」という名がつけられているのも頷けます。

味わいは、はちみつのような甘味が特徴。もちろん砂糖などを添加しているのではなく、米が麹菌の力で糖化した、米由来の自然な甘味です。今回用意したのは、富山市の名蔵、桝田酒造店が手がける「満寿泉」の貴醸酒。

熟成させてキャラメルのような色をした貴醸酒もありますが、この「満寿泉」のものは、まだ瓶詰めして2ヶ月ほどの生酒で、フルーティーさもほどよくあるもの。チーズとのペアリングは、まずは定番のイメージから始めました。

甘やかな酒に合うチーズと言えば、やはりブルーチーズ。ゴルゴンゾーラチーズが使われたピッツァにはちみつをかける、あのおなじみの食べ方と同じです。

チーズはフランス中南部でつくられている「フルム・ダンベール」をチョイス。青カビの刺激は穏やかながら、ナッツのような香りとコクが豊かなブルーチーズと、アカシアのはちみつのようなやさしい貴醸酒の甘味が、口の中で溶け込むようにマッチします。

2つめは、ちょっと驚きの組み合わせとして「ラングル」というチーズを。

初めに登場した「マンステール」と同じウォッシュタイプのチーズではありますが、納豆のような特有の香りはほとんどなく、チョーク状と表現されるしっとりホロっとした食感と、ヨーグルトのような乳酸由来の爽やかなミルク感が特徴のチーズです。

これに貴醸酒を合わせると、「レアチーズケーキ」のような味わいに。

ホロホロとしたチーズの生地の隙間に貴醸酒が満ちわたり、酸味と甘味のバランスも絶妙。味の濃淡のバランスがぴたりと一致する味わいが完成します。

 

おなじみの「吟醸酒」とちょっとめずらしい「貴醸酒」。そして、それぞれに合うチーズを「定番」と「プロのおすすめ」の2つの方向性でペアリングしてみました。

日本酒もチーズも、豊かな発酵文化によって生み出されたもの。また、数えきれないほどたくさんの種類とつくり手が存在します。

ペアリングも、一期一会。今回ご紹介したことを参考にしつつ、ぜひみなさんも“実験”してみてください。そこには食の楽しみ、酒の楽しみが必ずあるはずです。

text and photographs by 佐野嘉彦

企画協力 千葉麻里絵(GEM by moto)
取材協力 LA MAISON DU FROMAGE(ラ・メゾン・デュ・フロマージュ)
主催 フランス全国酪農経済センター(Cniel)、ヨーロッパ連合(EU)

 

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