強い香りが苦手。だからこそ出来る一皿を、ワインとともに。松本好生さん|TOMIGAYA CALME

居心地が良くて、近所にあったらついつい通ってしまう。まさにそんな店が、富ヶ谷の坂の途中にあります。

高級食材や奇をてらった料理はありませんが、食材のサスティナビリティは大切に考える。ナチュラルなつくりのワインとそれに合うちょっと小粋なメニュー、そしてカフェ出身ならではのカジュアルなサービスは、客の肩の力をそっと抜いてくれます。そんな「TOMIGAYA CALME」の松本好生さんにインタビューさせていただきました。

 

強い香りが苦手。だからフレッシュチーズが好き。

―チーズにまつわる特別な思い出やエピソードはありますか。

実は、個人的にはあまりチーズが得意ではないんです。そもそも香りの強いものがあまり好きではなくて、パクチーなんかも苦手。チーズは食べられないわけではないのですが、ウォッシュや青カビのチーズを自分から好んで食べることはありません。

でも、フレッシュタイプのチーズは別。さっぱりとして、個性的な強い香りがないので好きなんです。この店をオープンして、ご近所のCHEESE STANDでブッラータやモッツァレラを見つけたときは「あ、これはちょっと食べてみたい」と思って、その場で買いました。

―そうだったんですね。メニューでもCHEESE STANDのチーズを使ってくださっていますね。

はい。初めて食べたときの印象は強くて、今でもよく覚えています。とにかく新鮮であること、そしてミルクのコク豊かな風味がしっかりとあることに驚きました。フレッシュなチーズなので、酸化劣化は大敵。でも、歩いて3分くらいのところで日々つくられているのですから、この美味しさを活かした料理を提供しない手はないなと思いました。

 

旬のフルーツを、季節ごとに合わせて

―チーズを使った料理をご紹介ください。

モッツァレラを繊維状にカットしたものに生クリームを合わせた“ストラッチャテッラ”を定期的に仕入れ、季節ごとにベストなフルーツと掛け合わせた一皿を定番でメニュー化しています。

夏は岡山のシャインマスカットや山形の洋梨を使っていましたが、今は、いちご。「ストラッチャテッラといちご ビーツのソース」というメニューを紹介します。ワイン担当の西田の同級生が福岡でいちご農園を営んでいて、そこの「まくす苺」というあまおうを使っています。

ストラッチャテッラには、黒胡椒とフルール・ド・セル(塩)をかけ、オリーブオイルで調味。いちごはカットしたままで、マイクロリーフを添え、味わいとしては全体をビーツのソースでまとめあげています。ビーツは丸ごと、皮ごと使って、水、ビネガー、砂糖、クローブやタイムなどのハーブ&スパイスと一緒に煮詰めて、ソースにしています。

―ビーツのソースが香ばしくて、フレッシュないちごやクリーミーなストラッチャテッラと良く合いますね。せっかくですので、おすすめのペアリングワインを教えてください。

では、ワインのおすすめは西田から。

フレッシュないちごの味わいと、クリーミーなチーズが主役の一皿なので、ロゼワインがおすすめです。

煮詰めたビーツのソースが、香ばしさを伴っているので、少し樽の香りや渋み(タンニン)を感じるもの・・・冷涼感あるスペインの赤ワインも合いそうですが、今日ご用意しているなかで言えば、フランス南部のラングドック=ルーションでつくられている自然派ワインで、カベルネ・ソーヴィニヨン100%の微発砲のロゼが、とてもよく合うと思います。

 

リコッタで、ワインにも合う“食べるサラダ”を

―家庭でもできるおすすめのチーズ料理、またはチーズの使い方のコツなどを教えてください。

チーズと季節の食材を使った、食べ応えのあるサラダなんていかがでしょうか。例えば、先ほどのビーツにリコッタを合わせて、くるみとルッコラを。冬が旬の柑橘の果汁でソースというかドレッシングをつくって絡めると美味しい一品になると思います。

夏だったら焼きナスと、マリネかグリルした青魚に、リコッタをプラス。やさしい味わいのリコッタと旬の食材を合わせるだけで、ワインにも合う、手軽で美味しい“食べるサラダ”ができます。

 

松本好生さん

アパレル会社にて勤務の後、都内のカフェ、ブラッスリーでサービスを担当。勤務先だったブラッスリーで料理を学び、カフェで一緒に勤務していた西田さんをワイン担当のパートナーとして、2014年「TOMIGAYA CALME」をオープン。

 

TOMIGAYA CALME(トミガヤ カルム)

東京都渋谷区富ヶ谷1-37-1
tel. 03-5738-7105
営業時間/18:00〜26:00(25:00 L.O.)※土曜〜24:00(23:00 L.O.)
定休日/日曜、第3土曜
http://calme.me

 
text by 佐野嘉彦
photographs by 石原哲人

 

シリーズ《CHEF’S VOICE》
チーズを料理に生かす、プロフェッショナルたち。

https://cheese-media.net/?cat=32

 

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