「食べることは生きるための手段だけではなく、おいしさという喜びを私たちに与えてくれるものでもあります。そして、おいしさの共有は人との関わりの幸せにも欠かせないと思うのです」と、著書『チーズ☆マジック』で語る、料理研究家の小野孝予(おの たかよ)さん。
毎日の献立は意外と大変ですが、和・洋・中華・エスニックの定番料理もチーズを加えるとまた新たな美味しさと魅力を放ちます。そんなチーズを使った“マジック”を繰り出す「クオリア」主宰、小野さんにインタビューさせていただきました。
チーズの奥深い世界に開眼
―チーズにまつわる特別な思い出やエピソードはありますか。
まだチーズのことを本格的に勉強する前のことですが、Cniel(フランス全国酪農経済センター)のローラン・ダイアン氏と、フロマジェリー「シェ・ヴィルジニー」のオーナー兼熟成士のヴィルジニー・ブラルア女史をお招きしたセミナーに参加したときのことは、今でもよく覚えています。
そこで体験したのは、熟成のマジック。
ミモレットもコンテも私がそれまで知っていたものとは全く別物と言っていいほどで、熟成のさせ方でこれほどまでにしっとり感のあるチーズになるのかと驚きました。
また、チーズと和のおしゃれな融合の世界に触れたのも、この時が初めて。ミモレットと大吟醸が合うことを知り、和風のお花見プラトーを見るのも初めてで、本当に感激しました。
心惹かれる、日本のチーズ
―個人的に好きなチーズは何ですか?その理由は?
好きなチーズがたくさんありすぎてピックアップするのが難しい(笑)そうですね・・・比較的最近食べて、パッと頭に浮かぶもので言うと、日本のチーズが多いですね。
たとえば、北海道・半田ファームさんの「もどきde山羊」。牛乳製なのに見た目も味も山羊乳製と間違えてしまう、不思議で美味しいチーズでした。
長野・清水牧場さんの「バッカス」は、空気のきれいなところで丁寧に作られたことが想像できるハードタイプのチーズ。素朴で豊かで複雑な味わいがたまりません。
また、味はもちろん、中から生クリームがトロリと出てくるさまを見ているだけでも幸せな気持ちになってしまう、CHEESE STANDさんの「東京ブッラータ」。私の大のお気に入りです。
―料理教室でもCHEESE STANDのチーズを使ってくださっていますね。
フレッシュチーズは、鮮度が大事な“食材”でもあります。だから、保存料などの添加物が入っていないうえに、作り手の顔が見えて、さらに出来たてのものが手に入るというのは大きな魅力です。CHEESE STANDのチーズは美味しいと定評があるので、私の料理教室でもレッスンで登場させると、参加者のみなさんから喜ばれるんですよ。
チーズは、魔法の食材になる
―このCHEESE Mediaでも、小野さんの“チーズ☆マジック”が光るレシピをいろいろとご紹介いただいていますが、料理でチーズを使う利点はどんなところにあると思いますか。
チーズは乳製品であり、発酵食品でもあることがポイント。「料理にコクが出る、味がまろやかになる、旨味が増す、長時間煮込んだような味になる」など、とても便利なんです。さらに、良質なタンパク質やカルシウムなどの栄養素がギュギュッと詰まっているのですから、使わない手はありません。
例えば、家庭料理の定番のひとつであるポテトサラダも、チーズをプラスするだけで、さらに美味しい一品に変化します。チーズは種類もいろいろとあるので、料理との組み合わせを考えれば無限の可能性があると言えるかもしれません。
- 小野孝予(おの たかよ)
- 食トータルデザイナー。株式会社クオリア取締役社長、料理教室クオリア主宰。航空会社での勤務後、料理学校やフードコーディネーター養成スクールなどで料理、レシピ開発、フードスタイリングを学び、2006年、横浜市青葉区の自宅にサロン形式の料理教室を開設。また、ソムリエ、チーズプロシェッショナルとして、ワインやチーズの講座も開催する傍ら、コラム執筆やレシピ紹介、企業へのレシピ開発も行う。百貨店でのイベント講座や テレビ・ラジオなどの様々なメディアにも出演。
- Webサイト http://www.qualia-cooking.com/
ブログ http://ameblo.jp/qualia-yokohama/
Instagram https://www.instagram.com/takayo.ono/?hl=ja
text by 佐野嘉彦
- 「出来たてモッツァレラ」はFRESH CHEESE Delivery(オンラインショップ)で
- 真っ白でぷるん、つるん。
- 東京・渋谷で作られるフレッシュなモッツァレラはミルク感もあって、料理にも最適。オンラインショップでもお求めいただけます。
http://fcd.cheese-stand.com/
ほかにも「チーズでコク増し、風味アップ、あっというまにおいしさマックスに。」という、小野孝予さんのチーズ料理が1冊の本に。料理が苦手な方、忙しい方には特におすすめです。