「ブッラータ」のストーリー&美味しい食べ方、知っていますか?

ブッラータ

“ブッラータ”。聞き慣れない言葉ですが、これは「バターの様な」という意味を持つ、南イタリア プーリア州原産のフレッシュチーズの名前です。もしかしたら、巾着状モッツァレラのようなユニークな形のチーズを見た事のある方は多いかもしれません。

そのブッラータ、モッツァレラ生地で出来た袋の中に、“ストラッチャテッラ”と呼ばれるモッツァレラを細かく裂いて生クリームと合わせたものがたっぷり入っています。

ぷっくりとした袋部分ににナイフを入れると、ストラッチャテッラがとろりと流れ出てきて、それをひと口食べると、モッツァレラのミルク感とクリームの濃厚さが相まって、至福の美味しさ。強いクセもないので、誰でも食べやすいチーズです。

ブッラータ

日本ではまだ知名度の低いブッラータですが、チーズ好きを中心に、今、人気が急上昇中。しかし、賞味期限が非常に短いため、数年前まで国内ではまずお目にかかれない幻のチーズでした。現在でもなかなかに入手は困難ですが、チーズ専門店やネットショップ等、買えるお店もじわじわと増え、また、国内でブッラータを作っているチーズ工房も増えたので、徐々にではありますが、購入しやすくなってきています。

 

ブッラータの歴史

世界で最初にブッラータが登場したのは1920年頃。ブーツの形に例えられるイタリア半島のかかと部分、プーリア州のアンドレアという町に住むビアンキーニ家によって生みだされました。

もともとモッツァレラを作っていたビアンキーニ一家。製造時に余ったモッツァレラの生地がもったいないので、それを細かく裂いて生クリームと合わせ、袋状にしたモッツァレラに詰めたのが始まりです。

当時は冷蔵技術も進んでいなかったので、消費されるのは冷蔵保存せずに食べきってしまえる地元でのみ。「製造後48時間以内に食べるべし!」と言われるほど賞味期限が短いため、その後30年ほどは現地でしか食べられないローカルフードでした。とは言っても、非常に美味しい上に、モッツァレラの有効活用という、生産者にとってもメリットがあるおかげで徐々に生産地域が広がり、現在ではイタリア以外の国々でも作られるようにもなりました。また、冷蔵技術の進歩により、イタリアから他国へ輸出される量も右肩上がりとなっています。

ちなみに原産地の南イタリアでも、水牛乳製モッツァレラが当たり前のところでは、そのモッツァレラをベースにした水牛乳製のブッラータが作られています。脂肪分の多い水牛乳製ブッラータは、冷やすと乳脂が固まって硬くなってしまうので、産地では、一度も冷蔵されていない出来たてブッラータを買い求め、冷やさずそのまま食べることも多いそう。地元ならではの贅沢です。

 

ブッラータの美味しい食べ方

さて、幸運にもブッラータを入手出来た時の食べ方をご紹介します。
初めに大事なのは常温に戻す事。乳脂肪をゆるめ、風味を開かせます。そしてブッラータが室温に戻ったら、まずはそのままをシンプルに塩・胡椒・オリーブオイルで。それからトマトやフルーツと合わせたり、パスタやピザにのせたりするのもおすすめです。

ブッラータの前菜
桃・生ハム・ワインジュレと合わせて前菜に。

ブッラータのサラダ
たっぷりのトマトと塩・胡椒でサラダに。

 

ところでこのブッラータ、細長い数枚の葉っぱで周囲を包んで仕上げているものも見かけます。これは、「アスフォデル」という植物の葉で、葉の色を鮮度のバロメーターにしていた頃の名残り。葉の緑色が鮮やかなうちに食べましょう、という昔からの知恵ですね。

これからブームを経て定着をも感じさせるブッラータ。見かけた時は、ぜひともお試しいただきたいチーズです。

 

ブッラータのきほん

・タイプ: フレッシュ(パスタフィラータ)タイプ
・原産地: 南イタリア、プーリア州ムルジャ地方の町、アンドリア(Andria)
・原料: 牛または水牛乳、クリーム
・形状・大きさ・重さ: つるりとした巾着の様な袋状。大きさはこぶし大くらいの物が多いが、今のところ規定は無い。重さも60~500gくらいと様々。

 

yuki ogasawara
小笠原由貴(おがさわら ゆき)
恵比寿でパンと料理の教室「la nature(ラ・ナチュール)」を主宰。チーズのある食卓の幸福感、チーズの美味しさ、バリエーション、唯一無二のチーズが生まれる面白さに惹かれ、教室でも折に触れてその魅力を紹介している。C.P.A.認定チーズプロフェッショナル、J.S.A.認定ワインエキスパート、シュヴァリエ・デュ・タスト・フロマージュ。
http://ameblo.jp/naturefoodstyle/

 

ブッラータをもっと美味しく楽しもう!

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burrata
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