阿佐ヶ谷駅から徒歩7分、昔ながらのお店が立ち並ぶ商店街にあるジェラート専門店「Gelateria SINCERITA(ジェラテリア シンチェリータ)」。
朝から晩まで地元の人たちで賑わうこちらのお店は、「街角にあるジェラート屋」をコンセプトに、本場イタリアで日常に溶け込むジェラートショップのように、ジェラートを気軽に楽しんでいただきたいというオーナー中井さんの思いが詰まったお店です。
日常に溶け込むジェラテリア
―お店をオープンしたきっかけを教えてください。
27歳まで設計事務所などでインテリア関係の仕事をしていたのですが、30歳を手前に新しいことにチャレンジしたいと思って立ち上げました。
元々アイスが好きで、イタリアに留学していた時も色々なお店を回って食べ歩いていました。イタリアには、どこの町にもジェラテリアがあって、子どもから大人からまで、みんなが日常で食べているんです。そういう場を日本にも作りたいと思って。
―なぜその場所に阿佐ヶ谷を選んだのですか。
たまたま良い物件が見つかったのが阿佐ヶ谷だったんです。全く初めての場所だったのですが、今思えば良い場所に巡り合ったなと思っています。このエリアは食に対して敏感な人が多く、個人店も多いんです。商店街は人通りも多く、お子様連れからお年寄りの方まで幅広い層の方が足を運んでくださっています。
―元々建築関係のお仕事をされていたということですが、ジェラートの知識はどこで学んだのでしょうか。
ほぼ独学です。日本にはジェラートを専門で勉強できる環境がほとんどなくて。海外の本を読んだりしながら自力でスタートしました。科学的要素が強いジェラートはシンプルに見えて、想像以上に難しくて、色々と苦労はありましたが、なんとかここまでやってこれました。
素材のポテンシャルを活かすこと
―CHEESE STANDのチーズとの出会いを教えてください。
元々存在は雑誌などでも見て知っていましたが、毎年秋に開催している「イタリアウィーク」というイベントに出すカンノーリを作るのに、リコッタクリームを探していたら、パーラー江古田の原田さんが紹介してくれました。
―「イタリアウィーク」では、焼き菓子やジェラートなど様々な商品にCHEESE STANDのチーズを使ってくださっていましたね。CHEESE STANDのチーズを選んでいただいた決め手は何ですか。
やはり鮮度だと思います。日本でもイタリア産のものはたくさん手に入りますが、価格も高いし、鮮度も良くない。それからSINCERITAは、ナチュラルな素材を大切にしている中で、コンセプト的にもぴったりだと思いました。
ただ、同じ牛乳がベースとなるジェラートとチーズをどのように合わせたらそれぞれのポテンシャルを最大限に活かせるのか、日々試行錯誤で研究を進めている最中です。
―個人的に好きなチーズやチーズにまつわる思いやエピソードがあれば教えてください。
日頃から生産者を訪問したり、食材を探し回っている中で、牧場に行くことも多く、出来たてを食べる機会もあります。個人的には、羊系やブルーチーズなど、ガツンと味の強いチーズはあまり得意ではないので、CHEESE STANDで提供しているような優しいフレッシュなものの方が好きですね。
年間200種類のジェラートを生み出す
―人気のフレーバーを教えてください。
定番のミルクやピスタチオはやはり人気ですが、季節のフルーツを使ったジェラートは限定感もあるので頼まれる方も多いです。あとは、メルノワいう蜂蜜とピーカンナッツのジェラートがあるのですが、イタリアのジェラートコンテストで3位をとったこともあり、それを目掛けて来店される方もいます。年間200種類ぐらい作っているので入れ替わりが多いですが、年間を通じて色々なフレーバーを楽しめるのも魅力の一つだと思います。
―200種類も作られているとは、すごいですね。それぞれのジェラートはどのように生み出されているのでしょうか。
ジェラートの種類は思いつきの時もありますが、何かのきっかけで新しい食材に出会った時に商品化に繋げています。お店では、ちょこちょこイベントをやっていて、紅茶ウィークだと、紅茶のフレーバーを何種類か出したり、こどもの日は子供からジェラートの種類を募集して作ったりと様々な取り組みを行なっています。
―CHEESE STANDのチーズを使ったメニューを教えてください。
イベント用に用意しているものですが、イタリアには、カッサータと呼ばれるドライフルーツやナッツが入ったシチリアの伝統菓子があるのですが、それをイメージしたジェラートに、リコッタを使っています。
―なんと贅沢なジェラート。イベント限定なのがもったいないぐらいですね。よろしければ、今後の展開について教えてください。
特に事業として拡大していくつもりはないです。修行しに来てくれているスタッフもいるので、その子が外でお店をオープンしてくれたり、私のお店をきっかけにそういう人が少しでも増えてくれるだけで嬉しいです。文化を作っていくのは、僕一人の力ではできません。いろんなお店があって、いろんな作り手がいて、全体が盛り上がっていくことだと思っています。
中井洋輔さん
1980年神戸生まれ。2002年より主にインテリアデザインを学ぶため渡伊。約2年イタリアで学んだのち帰国後はインテリアデザイナーとして活動する。イタリアではジェラートを食べ歩き帰国後は日本でも色々なアイスやジェラートを食べるも、ピンと来るジェラートがなかったため2009年より自らジェラート作りを始める。半年ほど東京のジェラテリアで修行し新規ジェラテリアの立ち上げを行い、2010年よりジェラテリア・シンチェリータを開業。
Gelateria SINCERITA
東京都杉並区阿佐谷北1-43-7
TEL: 03-5364-9430
営業時間:11:00 – 21:00
定休日:無
https://www.sincerita.jp
photo by 石原哲人
シリーズ《CHEF’S VOICE》
チーズを料理に生かす、プロフェッショナルたち。
- 「出来たてリコッタ」はFRESH CHEESE Delivery(オンラインショップ)で
- ホットミルクを飲んだ時のような、ほんのり甘い風味と、ほわほわとした食感が魅力のリコッタ。
オンラインショップでもお求めいただけます。
http://fcd.cheese-stand.com