その土地ならではの食材でその魅力をシンプルに表現する。村上裕一さん、阿部修久さん|girotondo

神保町の静かな通りに面したお店「girotondo(ジロトンド)」。カジュアルでありながらも上質な雰囲気の店内では、日本の地で摂れる食材で作る自然体のイタリアンを楽しめます。

今回は、オーナーの村上さんとシェフの阿部さんにお話を伺いました。

―お店のこだわりについて教えてください。

girotondoは2016年末にオープンしたばかりですが、新しいものをたくさん取り入れたレストランではなく、どちらかと言うと古き良きを大切にした料理屋です。ベースはイタリアンですが、イタリア料理の根幹を為す地産地消に追従し、日本にいるからには日本で採れる食材を使うように心がけています。

レストランとしてフードやドリンクにこだわるのはもちろんですが、お客様により楽しんで満足していただくために、お店の雰囲気を作るディスプレイや御手洗いに置く石鹸の香りひとつひとつにまで、私たちの想いを込めて選んでいます。

ワインはイタリアのナチュラルワインを中心に、日本のものも少々取り揃えています。ナチュラルワイン好きの方はもちろんですが、まだあまりナチュラル系のワインに触れたことがない方にもいろいろと楽しんで頂き、こんなワインがあるんだという新たな発見にも繋がれば嬉しいと思っています。

―イタリア料理ということですが、具体的にどのようなお料理を提供していらっしゃいますか?

シェフが長年エミリア・ロマーニャ州で修行していたこともあり、その地方の料理がベースになっています。現地では毎朝早起きをして綿棒で生地を伸ばしてゼロからパスタを作る文化があるのですが、girotondoでも同様にしています。

常時5、6種類くらいはご用意していますが、メニューはその時の仕入れの状況で変わるので、その時巡り合ったものを楽しんでいただきたいですね。

―オススメのメニューを教えてください。

オススメは、「ジャージー牛ラグーのタリアテッレ」。牛うちもも肉の煮込みを使ったパスタです。

手打ちのパスタを牛肉と南イタリアの辛みが効いたサラミのソースに絡ませ、CHEESE STANDのフレッシュなモッツァレラチーズをそのままトッピングします。

このメニューは、当時イタリアで働いていたお店のおばあちゃんシェフがまかないでよく作ってくれていたんです。最後にモッツァレラチーズをフレッシュな状態でのせるので、食べた時に温かいパスタと冷たいモッツァレラのコントラストがとっても楽しくて大好きで。

―イタリアで修行されていたとのことですが、その時の経験についてお聞かせください。

約7年間、伝統的な郷土料理を提供するトラットリアで働いていました。元々パスタを勉強したくてエミリア・ロマーニャに渡ったんですが、行ってみたらパスタの他にもたくさん良いものがあって、その魅力に魅了されて幅広く料理の勉強を始めました。

自分自身、地元の人が気軽に通うようなお店が好きで、当時はよく食べ歩いたりもしていました。なんとも言えない素朴さがたまらなくて。

私のいたガンベロロッソという地域は山の中にあってとにかく不便だったんですが、春は野草、秋はきのこや果物など、四季でいろんなものが採れるんです。休日になるとお店のおじいちゃんと一緒に食材を採りにいって、自然なものをそのまま料理に使うということをやっていました。日本ではなかなかできない経験ですね。

―シェフならではのこだわりはどういった部分ですか?

食材に対し無茶をさせないこと。元々いたお店のように、できる限りその土地の食材を使うことを大切にしています。質素なものでもちょっと工夫するだけでとっても美味しい料理になるんです。

―他にもCHEESE STANDのチーズを使ったメニューがあると伺いました。

トルタ・ディ・リコッタです。イタリア語で”リコッタチーズのケーキ”という意味なんですが、CHEESE STANDのリコッタチーズを使ったケーキにミルクのジェラートを添えています。

こちらも、僕が働いていたお店の定番のドルチェでした。向こうで学んできたものを日本でも伝えたくて、現地のレシピをそのまま再現しています。

最初はイタリアのチーズを使っていましたが、日本に輸入されているイタリアのチーズは現地と比べると当然のことではありますが鮮度や状態が異なり、オーナーの紹介でCHEESE STANDのチーズを使い始めました。東京産のチーズは初めてでしたが、試してみるとすごく美味しくて。東京の牛乳で東京で作るという気概が素晴らしいと思いました。やっぱり鮮度は大切ですね。自分が探し求めていた味にすごく近かったです。まさに本場の味でした。

―今後の展開・目標などあれば教えてください。

事業としての新たな展開はまだ頭の中に閉まっておかせて下さい。まずはこのgirotondoを地元をはじめ、より多くの皆様に愛され、これからもずっと愛され続けるお店にしたいと思っています。食材やワイン選びに始まり、生産者と出逢い理解を深め、それらをお客様に伝え、食べた方々がおいしいと満足してくれたなら、それは私たちを含めた全ての人たちの幸せに繋がると考えています。

村上裕一さん(右)

ローマのリストランテ「Antico Arco(アンティーコ アルコ)」などでシェフソムリエを務め、ランゲ地方のワイナリーにてワインづくりにも携わる。帰国後は、地元や名古屋や東京のレストランで経験を重ねながら長野や群馬の農家に住み込みで農業に従事。江戸川橋の「La Barrique Tokyo(リストランテ ラ バリック トウキョウ)」支配人を経て、2016年12月「girotondo」をオープン。

阿部修久さん(左)

華調理師専門学校卒業後、神奈川県伊勢原市の「Trattoria Alberello(トラットリア アルベレッロ)」にて6年勤め、イタリアに渡る。ロマーニャ地方の「Trattoria al Gambero Rosso(トラットリア アル ガンベロ ロッソ)」と移転後改名「Trattoria di Jiliana(トラットリア ディ ジュリアーナ)」で延べ7年働く。移転準備中にはエミリア地方の「Trattoria Amerigo(トラットリア アメリーゴ)」にて。2018年に帰国。2019年3月より「girotondo」シェフに就任。

 

girotondo

東京都千代田区神田神保町1-36-1 新神保町ビル1F
TEL:03-5244-5245
営業時間:月~金17:00~24:00(L.O.23:00)、土15:00~24:00(L.O.23:00)
定休日:日曜日
https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13202852/

photo by 石原哲人

 

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