食も人もサステナブルであること。ニューヨークスタイルのグリルレストラン。 The Burn|米澤文雄さん

2018年にリニューアルオープンした青山一丁目駅直結の「青山ビルヂング」。地下一階のレストランフロア「青山一番街」で一際目を引くのが、サステナブルグリル「The Burn(ザ バーン)」。このお店をトータルでプロデュースし、エグゼクティブ・シェフを務める米澤文雄さんにお話を伺いました。

―今日はお時間をいただきありがとうございます。早速ですが、The Burnのコンセプトについて教えてください。

ニューヨークスタイルのグリルレストランです。炭火で豪快に焼き上げた国産牛の熟成肉を中心に、魚介やオーガニック野菜などをシンプルに調理して提供しています。店内はニューヨークをイメージしたカジュアルな空間で、ゆっくりと食事を楽しめるレストランスペースと気軽に使えるバーエリアを併設しています。

ここは、僕がエンドユーザーとして通いたいと思えるお店であることを大事にしています。僕の出身はファインダイニングですが、日常的に楽しめるお店が欲しいなと思ったんです。30〜50代の大人が1万円ぐらいで気軽に遊べるお店って意外と少ないと感じていて。

ニューヨークにはそう言うお店がたくさんあるんです。ファインダイニングで活躍していたシェフがカジュアルダウンしてお店をはじめることも多くて。どんなシチュエーションでも気軽に楽しめて、それでいてしっかりと食材にもこだわっている。そんなお店を目指しています。

―確かに、そういうお店って意外と少ないですね。インテリアも洗練された素敵な空間です。

店内は、ニューヨークのリノベーション文化を取り入れ、あえて壁もそのまま、天井も丸出しにしています。ちょっとくらい汚れても目立たないところも魅力の一つですね(笑)。こんなつくりですが、意外と男性同士の会食利用も多いんです。男性のリピーターもたくさんいます。あとはカップルというよりはグループ利用が多いですね。

―コンセプトに”サステナブル”を掲げていらっしゃいますが、そこに込められた思いを教えてください。

メインは食材です。産地や環境にこだわり、できるだけ良いものを使いたいということ。オーガニック=良いではなく、ちゃんとサステナブルな食材であることを大切にしています。

もう一つは”人”。ここで働くスタッフができるだけ長く働ける環境にしたいと思っています。スタッフが辞める理由の多くは人間関係や労働環境だと思っています。働いていて楽しければ辞めないと思うんです。上の人も下の人も尊重し合える環境づくりは大切にしています。

アルバイトスタッフ含め、日々の表情から困ってそうだと感じたら積極的に声をかけたり、過重労働にならないように意識しています。コミュニケーションをとにかく取ることが大事なポイント。大金持ちになりたくてこの業界に入ってくる人は少ないはずです。給料を上げれば続くということではないと思っています。サービスが好き、料理が好きで集まってきている人がほとんどなので、いろんな体験をさせてあげたいなと思います。

―スタッフの皆さんとても生き生きしていて、風通しの良さが伝わってきます。よろしければCHEESE STAND のチーズを使ったメニューもご紹介いただけますか。

ディナータイム限定で提供している「スイートピュアトマトと渋谷チーズスタンドのブラータ」です。旬の野菜やフルーツを使っているので季節ごとに内容は変わりますが、CHEESE STANDの東京ブッラータをベースにしたサラダ仕立ての一品です。

今回は、フレッシュトマトとブッラータに、クランベリーソースとクリスタライズドジンジャーのヴィネグレット、そして最後に旬のイチゴを添えました。

―とても美味しそうです。CHEESE STANDのチーズを扱い始めてくださったきっかけも教えてください。

元々食べたことはあって、味も美味しさも知っていました。たまたまオーナーの藤川さんにお会いする機会があり、藤川さんやお店の記事を読んだりしているうちに使ってみたいなと思い、元々カリフォルニアのブッラータを使っていたんですが、そこからスイッチしました。

ブッラータをリコッタと合わせて提供したり、リゾットなんかにしたこともあります。これがなかなか美味しいんです。今後はカチョカヴァッロも使ってみたいですね。

―そうだったんですね。このお店の料理に対する米澤さんならではのこだわりはどういった点でしょうか。

ここに来る誰もが同じように食事を楽しめることを大切にしています。このお店は、肉がメインのお店ではありますが、野菜料理も充実しているので、肉を食べなくても十分に楽しめます。ステーキレストランでありながら、ヴィーガンやベジタリアンなど、食事制限のある方も同じように楽しめるお店にしたかったんです。日本ではまだまだ身近ではないかもしれませんが、海外では当たり前の光景です。食べる側のニーズや多様性を受け止められる料理人でありたいですね。

最近はこの考え方をもとにレシピ本も出させていただいたのですが、肉・魚・卵・乳製品などを一切使わず、中南米、アジア、イスラムの食文化をミックスしたヴィーガン料理を紹介しています。ぜひ機会があれば読んでみてください。ヴィーガンでありながら華やかで驚きがあり、心もお腹も満足できるレシピ集です。

米澤文雄さん

高校卒業後、恵比寿イタリアンレストランで4年間修業。2002年に単身でNYへ渡り、三ツ星レストラン「Jean-Georges(ジャン-ジョルジュ)」本店で日本人初のスー・シェフに抜擢。帰国後は日本国内の名店で総料理長を務める。「Jean-Georges」の日本進出を機に、レストランのシェフ・ド・キュイジーヌ(料理長)に就任。2018年夏、The Burn料理長就任。

 

The Burn

東京都港区北青山1-2-3 青山ビルヂング B1F
TEL: 03-6812-9390
営業時間:ランチ11:30~15:00(14:00L.O.)、ディナー17:30~23:00(22:00L.O.)
定休日:日・祝
http://salt-group.jp/shop/theburn/

photo by 石原哲人

 

シリーズ《CHEF’S VOICE》
チーズを料理に生かす、プロフェッショナルたち。

https://cheese-media.net

 

mozzarella
「東京ブッラータ」はFRESH CHEESE Delivery(オンラインショップ)で
生クリームと繊維状にカットしたモッツァレラを、フレッシュなモッツァレラの生地で巾着状に包んだイタリア・プーリア州発祥のブッラータ。新鮮さが重要なため流通量が少ないにも関わらず、イタリア好き、チーズ好きの方には愛されてやまない特別なチーズです。ご注文はこちらから。
http://fcd.cheese-stand.com/

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