日本のチーズ、日本のワインを丁寧に伝えたい。柴本幹也さん | Bar 湘南ファーム

「知ってほしい、伝えたい!」

その想いがあふれて、日本チーズと日本ワインのお店「Bar湘南ファーム」を2014年3月、神奈川・藤沢にオープンし、活動を続けている柴本幹也(しばもと みきや)さん。

日本でつくられる、日本ならではのチーズとワインは、一歩一歩、でも着実につくり手の数も増え、品質の高いものが増えています。「つくり手と食べ手の間を丁寧に埋めていくのが私のミッション」と語る、柴本さんにお話を伺いました。

 

チーズとの出合い、原点

まず、柴本さんがチーズ好きになったきっかけは何だったのでしょうか?——

もともと、バイヤーが厳選した国内外の食材や酒を扱う大手スーパーの店舗で勤めていたのですが、チーズは直接の担当ではありませんでした。でも、専門知識を持ったスタッフが現場にいなかったこともあり、ワインアドバイザーの資格を取得した後、「せっかくだからチーズも勉強してみよう!」と思って、チーズプロフェッショナルの資格を取得。その過程で、チーズに魅せられていきました。

ちなみに、個人的にはどんなチーズがお好きなんですか?——

たくさんあるから難しい(笑)そうですね・・・初めて「チーズとワインのマリアージュって、こういうことなんだ!」という体験をして、今でも印象深いのは、ソーテルヌ(貴腐ワイン)と合わせた時のロックフォール(羊乳製の青カビチーズ)。定番の組み合わせではありますが、チーズとワインがお互いに高めあうということ。これは今の仕事をしていても、常に意識するようにしています。

あとは、やはり酪農を行いながらチーズもつくるという、農家製のチーズに惹かれます。食べていて、不思議とミルクそのもののパワーが詰まっているように感じますし、つくり手の顔やその土地の風景も想像できたりして、楽しいですね。

お店では、そんな日本各地でつくられる美味しいチーズが食べられるわけですね。今日のおすすめで、チーズの盛り合わせをお願いできますか?——

お客様からのオーダーが多いのは3種ですが、今日はたっぷり6種で。

花びらのようにカットしてあるものが、ハードタイプの「プリンス」。CHEESE Mediaでも取材されていた厚木の牧歌(Bocca)、河内さんのチーズです。

時計回りにいくと、ブルーチーズは「二世古 空[ku:] 超熟」、ドライフルーツがまぶされたチーズは「二世古 雪花[sekka] パパイヤ&パイナップル」。どちらも、北海道・ニセコチーズ工房の人気チーズです。

その次は、これもCHEESE Mediaに登場された長野・ボスケソ・チーズラボの「KASUGA」。工房からほど近い春日温泉の温泉水で表面を拭って熟成させるウォッシュタイプのチーズです。

その隣は、北海道・山田農場の山羊と羊の混乳製の「ガロのチーズ ソフト」。“ガロ”というのは、アイヌ語で「岩のゴロゴロした土地」という意味があり、山田農場がある地域はそう呼ばれていることから名付けられたそうです。

最後の丸くて真ん中に穴が空いているものは、「三次の鵜飼」という限定品。広島・三良坂フロマージュのもので、フランスのサントモール・ド・トゥーレーヌという有名なチーズをモデルにしたシェーヴルチーズです。

来店されるお客様には、さらにそれぞれのチーズのつくり手や土地柄、味わいの特徴などを、できるだけじっくりご説明するように心がけています。

どれも楽しいし、個性があって美味しいですね・・・。もう一つの看板アイテム、日本のワインのことも伺えますか。——

生産者とのつながりという点で言うと、ワインはチーズと比べるとまだそれほど築けていないのですが、やはりつくり手の顔が浮かぶような、「あー、あの人のワインだなぁ」と思い浮かぶようなワインが好きです。店でもそういうワインを積極的に仕入れて、お出ししています。


「Bar 湘南ファーム」の強い味方、ワインディスペンサー。セラー管理での抜栓提供もありますが、柴本さん一人で店を運営しているため、このディスペンサーは必需品なのだそう。

日本のワインやチーズをお出ししていて面白いなと思うのは、お客様とその土地の話がきっかけで話題が広がるということ。その方の地元だったり、仕事で訪れたことがある思い出の地だったり・・・。海外のワインと比べると、「つくり手が近い、会おうと思えば会いに行ける」という距離感は、身近な食文化につながると思うのです。

他に「これが人気!」というメニューはありますか?——

一番人気は、ラクレットですね。みなさん、とろ〜りチーズが大好きで、ラクレット目当てでいらっしゃるお客様もたくさん。今は、北海道・十勝エリアにある6軒のチーズ工房が共同熟成している「十勝ラクレットチーズ モールウォッシュ」を仕入れて、提供しています。

あとは、店内の専用ピザ窯で焼いている「マルゲリータ」。使っているチーズは、岩手・おさんぽジャージー三谷牧場の「金のチーズ」。ジャージーミルク100%で、コク豊かなチーズです。

 

すべてが東京発信じゃなくてもいいじゃない。

藤沢という場所でこの店舗を始めたのは、なぜなのでしょうか?——

前職の流通販売の仕事で体調を崩してしまい、自分の人生を見つめなおす時期がありました。そんな時に出合ったのが、実は日本のチーズとワイン。その素晴らしさ、美味しさをたくさんの人にも伝えたい。それを仕事にしていきたい・・・そんな想いがあふれて、この店を始めることになりました。

多くの人に伝えるためには東京でという選択肢がもちろんあると思うのですが、長野出身の私は、大都会があまり好きじゃない(笑)長年の満員電車での通勤生活から少し離れ、自分が住んでいるこの藤沢という町のことを全然知らないということにも気づきました。自分の子供も生まれ、この町に根ざした暮らしがしたいな、と。

また、SNSなどのコミュニケーションツールの発展の時期も重なり、「自分なりに挑戦してみよう。藤沢からの発信がきっかけで、日本のチーズとワインを知ってもらって、それが東京でも盛り上がる何かのきっかけになれば、それでいい。」そう思ったんです。

自分が暮らすコミュニティに根ざすということで言えば、藤沢に隣接する鎌倉で、定期的に“古民家イベント”を開催されていますよね。——

はい。実は、店をオープンする前から始めた企画で、これまでに21回開催してきました。自分が住むエリアで、日本のチーズとワインを丁寧に伝える活動をしたいという想いで続けていますが、家族も総出で、まさに手作りイベント。結果的には、ここでのイベント展開が今の店を始める準備にもなっていたように思います。

日本のチーズとワインを、古民家という日本的な空間で。コンセプトもピタリとはまっていますが、この場所は前からご存じだったんですか。——

いえ、きっかけは妻なんです(笑)ベトナムが好きで、Twitterで情報を見ていて、ベトナムに詳しく、旅行本も出されている方がいてフォローしていたら、その方が鎌倉で古民家スタジオを運営されていて。私もそこで開催されたベトナムがテーマのイベントに参加したのですが、“古き良きものは使い続けながら残したい”という想いに触れ、この「古民家スタジオ・イシワタリ」を会場に使わせていただくようになりました。

鎌倉 古民家スタジオ・イシワタリ

https://ishiwatari.jimdo.com/

 

つくり手と食べ手をもっとつないでいくために

牧場やつくり手のもとへも訪れ、まさにリアルな情報をSNSやお店で、またイベントで伝えているんですね。——

一人で店を運営していますので、そう頻繁には出かけられないのですが、厚木の牧歌さんは近いということもあって、月に1〜2回は訪れています。

あとは、調整しながらですが、年に1回くらいは数日かけて遠方にも。今年の9月は2週間かけて、東北と北海道の生産者巡りをしてきました。

お店で生産者イベントを行うこともあります。来店されたつくり手のみなさんやチーズやワインの関係の方たちに壁にサインをしていただいているのですが、だんだんと賑やかになってきました。

これからやってみたいこと、挑戦したいことはありますか?——

店や古民家でのイベント以外にも“伝えていく機会”をつくりたいですね。日本のチーズとワインを楽しむ野外バーベキューとか、農家や工房へ実際に足を運んでもらい体感するツアーなんかも実現できたらいいなと思っています。

 

日本チーズと日本ワインのお店「Bar湘南ファーム」

https://www.facebook.com/shonanfarm

神奈川県藤沢市南藤沢9-2
JR・小田急線 藤沢駅 南口より徒歩6分
tel. 0466‐27‐2302
営業時間   17:00~23:00(L.O.22:30)
定休日 日祝 ※臨時休業あり

 

interviewed by 佐野嘉彦(CHEESE Media 編集長)

 

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