2タイプの「甘酒」とそれぞれに合うチーズ。さらに美味しさを高めるプロの技とは?

最近の発酵食品や乳酸菌のブームとともに、スーパーやコンビニでも「甘酒(あまざけ)」を見かけることが増えてきました。

一昔前までは、甘酒といえば、「酒粕」をお湯で溶いて、砂糖などで調味していたものを指していたと思うのですが、今主流になっているのは、それとはまったく異なるノンアルコール飲料です。

日本酒づくりでは、原料となる米を麹菌の力で糖に変えて「米麹」をつくり、その後、酵母を添加してアルコール発酵をさせるのですが、そのアルコール発酵前の甘みのある「米麹」が、最近メジャーとなっているタイプの甘酒の原料です。

すっきり爽やかな「米麹の甘酒」と、微量のアルコールを含む「酒粕の甘酒」。風味も口当たりも異なる2タイプの甘酒には、相性の良いチーズも異なって当然。そこで、それぞれに合うチーズと、その美味しさをグンと引き上げてくれる技をご紹介します。

 

《米麹の甘酒&ブルーチーズ》に、意外なちょい足し

米由来のやさしい甘さとスムーズな口当たり。そんな米麹の甘酒には、ブルーチーズがおすすめです。

しっかりした塩気とピリッとした刺激がある青カビタイプのチーズには、甘みをプラスするのが定番のペアリングですが、その中でも今回はフランス中南部・オーヴェルニュ地方でつくられる「ブルー・ドーヴェルニュ」をチョイス。

ブルーチーズの中では比較的やさしい味わいなので、米麹のやわらかな甘みがそっと寄り添う相性です。

その相性の良さを一段引き上げる、ひと工夫を。米麹の甘酒に、エクストラヴァージンのオリーヴオイルを数滴たらします。

たらしたオイルと米麹の甘酒を軽く混ぜ、口に含み、ブルー・ドーヴェルニュを一口・・・。

さきほどの甘味と塩味のやさしいマリアージュに、フレッシュなオリーブオイルの青い香りと油分のふくよかさがプラスされて、まるで、高級レストランのアミューズ(一口前菜)のような味わいに大変身します。

 

《酒粕の甘酒&ミモレット》に、おなじみのあの薬味を

昔ながらの(?)「酒粕の甘酒」は、やはり温めて飲むのがおすすめ。とろりとした口当たりと酒粕特有の香りがあるこの甘酒は、苦手だという方もいるかと思いますが、そういう方にもぜひお試しいただきたい組み合わせをご紹介します。

ベストパートナーに選んだのは、まだ熟成が若い「ミモレット」。

アナトーという天然色素によるオレンジ色がインパクト大のチーズですが、味わいはマイルド。ほのかなミルクの香りがあり、しっとりとした生地の若いミモレットは、酒粕の甘酒と合います。

ここでも、ちょい足しのひと工夫を。酒粕の甘酒にひとつまみだけ加えたのは、すりおろした生姜です。

おろし生姜を加えた酒粕の甘酒は、体を温めてくれるということで、地域によってはよく飲まれていた飲み方だそう。

口の中でしっとりとしたミモレットと合わせると、今度は、粋な小料理屋で出てくる突き出しのような印象に。クラッカーやバゲットスライスなどを添えて、別のお酒を楽しむこともできそうなペアリングです。

2種類の甘酒&チーズ、そして2つの“ちょい足し”のテクニック。

どれも手に入りやすいものばかりで考案したペアリングですので、「甘酒が好き!」という方も「子供の頃から苦手で・・・」という方も、ぜひ一度、試してみてください。新たな食の体験がきっとあなたを待っています。

 
text and photographs by 佐野嘉彦
 

企画協力 千葉麻里絵(GEM by moto)
取材協力 LA MAISON DU FROMAGE(ラ・メゾン・デュ・フロマージュ)
主催 フランス全国酪農経済センター(Cniel)、ヨーロッパ連合(EU)

 

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