素材とともに進化する、チーズ&オーガニック料理を。加藤龍一さん|15℃

「15℃」は、地球の平均気温のこと。周りにあるものを見つめなおし、未来を見据え、生きていく根幹となる食と向き合う。そんな想いとともに「15℃」という店名は「世界はひとつ」であることを表しています。

人気ベーカリー「365日」をはじめ、安全、自然、公平な食と生活をプロデュースするウルトラキッチン代表の杉窪章匡さんが、この「15℃」の料理長、加藤龍一さんに託したのは、“新アメリカ料理”。人種と文化が交差しながら、寛容で豊かな食とストーリーが生まれる。そんな “農園ベーカリーレストラン”です。

2017年12月にリニューアルオープンし、顔の見える生産者の食材をふんだんに使ったメニューがさらに充実した「15℃」。加藤龍一シェフにインタビューさせていただきました。

 

フォーカスするのは、あくまでも食材

―“アメリカの料理”というと、ファストフードやBBQといったイメージを持つ人も多いと思うのですが、「15℃」が掲げる“新アメリカ料理”とはどういうものなのでしょうか。

アメリカは多民族国家ですから、実はさまざまな食文化があります。私たちが“新アメリカ料理”と提示しているのは、おもにアメリカ西海岸サンフランシスコ近郊のバークレーをイメージした、オーガニックなコンフォートフードです。

オーガニックや、サンフランシスコ、バークレーと言えば、サスティナブル(持続可能)な農業と流通、そして食育を40年以上も前から提唱し続けている料理家、アリス・ウォータースやそのレストラン「シェ・パニース」が思い浮かびますね。

そうですね。異なる人種や文化がクロスオーバーする土地で生まれる、豊かな食。でも、それはいわゆる「フュージョン料理」ではないんです。自然に育まれた、力強くて美味しい食材に照準をあてた料理。メニューとしては、シーザーサラダやクラムチャウダーなどの、馴染みあるものが主なものになります。もちろん、チーズを使った料理もいろいろとありますよ。

 

いくら食べても、飽きがこないチーズ

―チーズにまつわる特別な思い出やエピソードはありますか。

私はもともと、白カビやウォッシュなど、いろいろなタイプのチーズが好きなのですが、イタリア各地では本当に多種多様なチーズの美味しさと出合いました。

でも、いくら食べても飽きがこなくて思い出深いのは、サルデーニャにいた時のモッツァレラですね。水牛乳製の濃厚なミルクの味わいでしたが、本当にフレッシュで、1日に何度も食べていたということもありました。それくらい大好きなチーズです。

 

定番のチーズ料理も、素材の力で進化する

―チーズを使った料理をご紹介ください。

こちらは「奥渋 フルーツカプレーゼ」です。ご近所でもあるCHEESE STANDの「出来たてモッツァレラ」を使ったカプレーゼですが、「15℃」らしく、無農薬のフルーツを使って少しデザートのようなサラダに仕立てています。

定番のモッツァレラ&トマトに、国産のみかん、いちご、洋梨をプラス。さらに「バジル以外のハーブの可能性も探ってみよう」ということで、スペアミント、ディル、チャービル、コリアンダー(パクチー)も使っています。食べながらハーブの楽しさを“宝探し感覚”で体験してもらえるとうれしいですね。

―もう一品、モッツァレラを使ったメニューがありますね。ぜひご紹介ください。

こちらは「馬車に乗ったモッツァレラ」という料理です。私はパルマ近郊にいた頃にこの軽食メニューがよく食べられている光景を目にしました。モッツァレラはもちろんCHEESE STANDのもので、パンは私たちの系列店「365日」ではおなじみの福岡産小麦みなみの穂と福岡産の生クリームを使用した「福岡×食ぱん」。まさにこれはコラボメニューですね。

スライスした「福岡×食ぱん」をアパレイユ(卵液)に浸して焼き、モッツァレラをのせてオーブンへ。最後にアンチョビをのせて出来上がりです。加熱することで味わえるモッツァレラのミルキーな味わいと伸びる食感が楽しめます。

 

新たな美味しさ、新たな楽しみ方を求めて

―CHEESE STANDのモッツァレラを使っていただいている理由をお聞かせいただけますか。

まずは、最初にお話ししたように、私自身が“モッツァレラ好き”だということも大きいかもしれません。モッツァレラは食感がとても大事ですから、すぐ近くでつくられている、出来たてのモッツァレラというのは本当に大きな魅力なのです。

水牛乳製ではなく、牛乳製のモッツァレラならではのフレッシュでさわやかな味わい、そして出来たての食感。まずは認知度も高いカプレーゼで、その美味しさを実体験していただいていますが、今後は食感にフォーカスした新しいメニューも考えていきたいと思っています。

家庭でもできるチーズの楽しみ方やコツなどがあれば、ぜひ教えてください。

日本は伝統的に発酵食品を食卓で楽しむ文化があるので、チーズも同様に応用しながら楽しめると思います。

例えば、ブルーチーズは塩気とうま味、そこにピリッとした辛味があるので、“味噌+胡椒”のようなイメージで使ってみると面白いと思います。味噌と好相性の豚肉の料理に、ブルーチーズを。美味しいメニューができそうです。

反対に、リコッタのような淡白な味わいのチーズは、日本の発酵食品に合わせてみるとよいと思います。塩気の強い発酵食品と組み合わせて、マイルドな味わいに。食文化をクロスオーバーさせる「15℃」と同様、チーズと日本の発酵食品の交差点から生まれる美味しさも、ひとつではないはずです。

 

加藤龍一さん

イタリアン、フレンチの店で経験を積むなか、杉窪章匡シェフ(「15℃」をはじめとする店舗を展開するウルトラキッチンの代表)と、神戸のフランス料理店「ルイブラン(現在は大阪に移転)」で出会う。

その後、パルマ近郊のレストラン、サルデーニャ島のリゾートホテル、イギリスロンドンの5つ星ホテルなどでの経験を経て、帰国。「カリフォルニアワイン バイザグラスコンクール優秀店舗受賞」をきっかけにカリフォルニアで見聞を広め、2011年、愛知県半田市で「AL CAVA」をオープン。2017年、拠点を東京に移し、現店「15℃」の料理長に就任。

 

15

東京都渋谷区富ヶ谷1-2-8
tel. 03-6407-0942
営業時間/7:00〜23:00(food 22:00 L.O./drink 22:30 L.O.)
定休日/不定休
http://ultrakitchen.jp/

 
text by 佐野嘉彦
photographs by 石原哲人

 

シリーズ《CHEF’S VOICE》
チーズを料理に生かす、プロフェッショナルたち。

http://cheese-media.net/?cat=32

 

mozzarella
「出来たてモッツァレラ」はFRESH CHEESE Delivery(オンラインショップ)で
真っ白でぷるん、つるん。
東京・渋谷で作られるフレッシュなモッツァレラはミルク感もあって、料理にも最適。オンラインショップでもお求めいただけます。
http://fcd.cheese-stand.com/

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