地中海とアラブ。2つの食文化が交錯する北アフリカのチュニジアには、手軽に作れて美味しいチーズ料理があります。
前回のチーズ入りオムレツ「タジン」に続き、日本の家庭でもできるチーズを使ったチュニジア料理を2品ご紹介します。
マカロニではなく「マカルーナ」
チュニジア料理では、トマト、オリーブオイル、ニンニクが欠かせません。つまり、イタリア料理にとてもよく似ているのです。
この「マカルーナ」とは「マカロニ」のこと。家庭によって使うパスタは違いますが、日本で主流のペンネより、貝殻の形をした「コンキッリェ」のちょっと大粒のものが人気です。
材料もほとんどイタリア料理と同様のものですが、チュニジアのマカルーナには一つ大きな特徴があります。
それは「ターメリック」を使うこと。そんなに強い風味はないのにスパイスがほんのり香り、チュニジアの匂いがします。また、辛いのが大丈夫であれば、アラブ諸国ではおなじみの調味料「ハリッサ(アリッサ)」も入れます。
「ハリッサ」はどんな料理にも使えるのですが、唐辛子のペーストにニンニクやクミン、コリアンダーなどのスパイスが入っているもので、ただ辛いだけでなく香りと風味づけにも使える万能調味料です。しかもオリーブオイルと一緒にバゲットにつければそれだけでも美味しいのです。(私は食べ過ぎてお腹をこわしたことがあるので要注意ですが)
そして鶏肉。チュニジアの肉屋にある大抵の肉は、スーパーマーケットのように部位ごとにパックになっていません。基本的には新鮮な状態をできるだけ保つために、鶏は注文してから用意されるため部位は選べず、重さや大体の大きさで注文できるのですが、1羽丸ごと買うのが通例となっています。
家に帰って自分で食べやすくさばくため、骨ごと調理することが多く、ダシがよく出てコクのあるトマトソースが出来ます。また、トマトは「ダブルコンソントレ(2倍濃縮)」の缶をよく使います。
むしろ日本で主流のホールトマトはあまり見かけません。これもまた、コクのあるトマトソースを作る秘訣となっています。
マカルーナ
■材料 6〜8人分
ニンニク 2片
玉ねぎ 1個
鶏もも肉 350g
ホールトマト 2缶
ターメリック・塩・胡椒・ハリッサ 少々
オリーブオイル 大さじ3〜5
グリュイエールチーズ 100g
ローリエ 1枚
お好みのパスタ 500g
■作り方
- みじん切りにしたニンニクと玉ねぎを、熱したオリーブオイルに入れ、弱火で香りが出るまで炒める
- 鶏肉を入れ、炒める。
- ホールトマト、ターメリック、塩胡椒、ハリッサ、ローリエを入れ、1〜2時間弱火でじっくり煮込む。
- ゆでたパスタと3を絡め、大皿に盛り付けた上から、グリュイエールをたくさんかける。
外パリッ!中トロ〜の「ブリック」
チュニジアを代表するチーズ料理のひとつです。チーズをたくさん入れたジャガイモのフィリングと生卵を春巻の皮に包んで揚げると、卵がトロトロで絶妙な仕上がりに。
ちなみに日本では春巻の皮を使いますが、チュニジアにも「マルスーカ」と呼ばれる同じようなものがあります。形が丸型で、もう少し大きく、少し薄い生地です。
■材料 4人分
生卵 4個
春巻の皮 4枚
ジャガイモ 2〜3個
ツナ缶 1/4
玉ねぎ 1/4
ケッパー お好みで
生パセリ みじん切り大さじ2程度
シュレッドチーズ 100g
胡椒 少々
揚げ油 適量
レモン 4切れ
■作り方
- 茹でたじゃがいもをつぶし、油を切ったツナ、みじん切りの生玉ねぎ、ケッパー、みじん切りの生パセリ、シュレッドチーズ、胡椒を入れてよく混ぜ合わせ、フィリングを作る。 *チーズの塩気があるため塩は通常入れません
- フライパンに深さ3〜4cmほどになる油を入れ、180℃に温めておく。
- 大きめの平皿に春巻の皮を置き、中央に大さじ3程度のフィリングを置き、真ん中に卵1個分のくぼみを作っておく。
- くぼみに黄身がのるように、生卵を落とす。
- 生卵を落としたらすぐに下の角を反対側の角に合わせ、すぐ油に入れ、フォークやトングで端を押さえながら揚げる。
- 油から出ている上面は、おたまなどで油をかけながら揚げる。
- 下面が小麦色になったらひっくり返し、反対の面も小麦色になるまで揚げる。
- 油を切ってレモンを搾れば完成 *高温の油を使うため、やけどにはくれぐれも気をつけて調理してください。
まとめ
2回にわたって、遠く離れたチュニジアという国の食文化とチーズ料理をお伝えしてきましたが、その美味しい魅力を少し感じていただけましたでしょうか。
チーズのイメージがない北アフリカのチュニジアですが、本当にみんなチーズが大好き。いろいろな料理に入れたりかけたり、おやつに食べたりと、冷蔵庫には基本的に数種類チーズが入っています。
そして、意外と日本にある食材で作れる料理がたくさんあるので、ぜひお試しください。
- 渡邊美友(わたなべ・みゆう)
- 多摩美術大学在学中に、チュニジア政府奨学生としてチュニジア留学。アラビア語とチュニジアの家庭料理を学ぶ。その後帰国し、2児を育てながら、現在は壁画やイラストなどの絵画制作やワインエキスパートの資格を活かし、ワインセミナーやイベントの企画、講師も務める。
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