料理を通して、生産者の思いを繋いでいきたい。 祥瑞|恩海洋平さん

1993年にオープンし、六本木の裏通りにある雑居ビル2階にひっそりとお店を構える老舗ビストロ「祥瑞(しょんずい)」。六本木エリアで肉と言えば、名前にあがることも多いこちらのお店は、古くから熟成肉で知られる人気店。2019年からシェフを務める恩海洋平さんにお話を伺いました。

―「祥瑞」のコンセプトを教えてください。

祥瑞は、日本に自然派ワインを広めたことでも知られる故 勝山晋作さんが27年前にワインバーとしてオープンしました。その後、2009年にシェフとしてジョインしたシゲさん(現、京都「le 14e」シェフ 茂野眞さん)が、元々働いていたパリの有名ビストロ「Le SEVERO(ル・セヴェロ)」で学んだ肉料理を提供するようになり、今の”ステーキビストロ”のスタイルが生まれました。

僕的には、祥瑞はいまだにワインありきの「ワインバー」という認識でいますが、来店するお客さんの100%近くがお肉を召し上がるので、”ステーキビストロ”が正しい表現なのかもしれないですね。

客層で言うと、オープン当初から通ってくださっている方だったり、常連さんが多いお店ですが、場所柄ビジネスユースも多いです。スーツを着たサラリーマンのような方がいる一方で、作曲家などが深夜に仕事で商談を交えていらっしゃることもあったり、本当に様々です。短時間の滞在で、ステーキだけ食べてさくっと帰る、みたいな人もいて、カッコ良いなと思います。

―「祥瑞」の料理の特徴はどんなところでしょうか。

料理はフレンチがベースとなっています。ただし、僕自身特定の国で修業してきた背景がある訳ではないので、シゲさんのスタイルは踏襲しつつ、そこまでフレンチのスタイルにこだわり過ぎずに自由にやらせてもらっています。

肉料理は定番メニューとして継続しつつ、お魚を使った料理なども提供しています。毎日新鮮な食材を仕入れ、エビが届いたらスープ、鰤だったらカルパッチョなど、その時一番よいものを良い状態でお召し上がりいただけるように提案しています。お客様にはそのライブ感を楽しんで欲しいですね。

―人気メニューを教えてください。

まずは、看板メニューの「ステーキフリット」です。熟成牛で有名な滋賀県の「さかえ屋」というお肉屋さんから仕入れた北海道のあか牛を30日熟成させたもの使っています。

日本の方はミディアムレアを好む方が多いですが、ここでは肉の旨味や香りを際立たせるため、あえてレアで提供しています。フライパンで肉を焼きながら上から油を回しかける「アロゼ」というフレンチ手法を用いることで、外はクリスピー、中はレアに仕上げています。

とにかく時間をかけて焼くことが大事。ゆっくり火入れすることで、均等に火が入るので、ジューシーに柔らかく仕上がります。

僕はこれを「究極のレア」と呼んでいますが、絶妙な焼き加減で仕上げると、カットした時に肉汁がジュワッと溢れ出るんです!

このように、揚げたてのフリッツの上にドンっと乗せて完成です。

―なんだかダイナミックでカッコ良いお料理ですね!次のメニューも教えていただけますか。

次は、CHEESE STANDのブッラータを使った料理「ブッラータとトマト」です。千葉県産のミニトマトとセミドライトマトを混ぜ合わせ、レモン、タイム、最後にオリーブオイルを回しかけます。

とにかくたっぷりと贅沢にトマトを使っているところがポイントです。

こちらも、10年前からある定番の人気メニューです。

―CHEESE STANDのチーズを扱っていただけるようになったきっかけを教えていただけますか。

前職で、神楽坂に期間限定でオープンしていたトレーラーハウス型のステーキダイナー「TRAILER」を運営していた時にCHEESE STANDと出合いました。メニューに使うため、ブッラータを探していた時に、何かの記事で見かけたのが きっかけです。

初めは「渋谷でチーズ !?」って半信半疑だったんですが、食べたら「美味しいじゃん!」ってなりました(笑)。

僕が祥瑞で働き出した時は、イタリアのものを使っていたんですが、安定供給できないこともあり、途中からCHEESE STANDの東京ブッラータも使い始めました。CHESE STANDのブッラータは中がクリーミーで、絵的にもおでんくんみたいで可愛いですよね。

―食材選びで大切にしていることはどんなところでしょうか。

料理人は、食材ありきの仕事です。業者さんに頼めば何だって手に入れることはできますが、それぞれの食材がどんな背景で作られていて、その背景に共感できるかを大切にしています。なので、できる限り生産者とつながって、背景にあるストーリーや思いを知った上で提供することにこだわっています。

―今後の目標などあれば教えてください。

お客さんとの距離が近く、ワイワイと楽しげな「祥瑞」の”グルーブ感”は、この先も大事にしていきたいです。それと同時に、料理人として、自然の恵みをいただいていることに感謝しながら、生産者の思いが伝わるお店づくりを心がけていきたいですね。

 

恩海洋平さん

1979年生まれ。2011年「Ricos KITCHEN(リコス・キッチン)」でキッチンスタッフとして修行後、2013年より神楽坂「Bicoque(ビコック)」でサービススタッフとして勤務。2 017年世界的な建築家である隈研吾さんが設計し、スノーピークが発売したトレーラーハウス「TRAILER」プロジェクトにシェフ兼サービスマンとして従事。同年FUJI ROCKにホットドッグ専門店を出店。2019年1月より祥瑞シェフに就任。

祥瑞

東京都港区六本木7-10-2 三河屋伊藤ビル 2F
TEL: 03-3405-7478
営業時間:月〜金 18:30〜23:00(L.O)、土 18:30〜21:00(L.O)
定休日:日・祝
https://tabelog.com/tokyo/A1307

photo by 石原哲人

 

シリーズ《CHEF’S VOICE》
チーズを料理に生かす、プロフェッショナルたち。

https://cheese-media.net

 

mozzarella
「東京ブッラータ」はFRESH CHEESE Delivery(オンラインショップ)で
生クリームと繊維状にカットしたモッツァレラを、フレッシュなモッツァレラの生地で巾着状に包んだイタリア・プーリア州発祥のブッラータ。新鮮さが重要なため流通量が少ないにも関わらず、イタリア好き、チーズ好きの方には愛されてやまない特別なチーズです。ご注文はこちらから。
http://fcd.cheese-stand.com/

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