7種類のチーズと5種類のお茶。美味しい組み合わせはどれ?《後編》

pairing of cheese and tea

「チーズにはワイン」と思い込んでいませんか?
普段何気なく飲んでいるお茶とチーズを合わせてみたことはありますか?

前編では、穏やかな味わいのチーズ3種類<モッツァレラ・クリームチーズ・カマンベール>を、5種類のお茶<煎茶・ほうじ茶・烏龍茶・紅茶・抹茶>と合わせ、お茶の香りが合わせるポイントとなったことがわかりました。

後編では、より個性的なチーズ4種類とお茶との相性をご紹介します。

 

マンステール(ウォッシュタイプ、牛乳製)

munster and tea

オレンジ色の艶々した表皮に覆われたチーズ。表皮からはウォッシュ独特の香りがしますが、中の生地がむっちりしていてミルクの甘味たっぷり。奥深い味わいです。

煎茶 ☆
ほうじ茶 ☆☆☆☆☆
烏龍茶 ☆☆
紅茶 ☆☆☆☆
抹茶 ☆☆

マンステールのスパイシーな香りが、ほうじ茶の香ばしさと酸味で引き出されました。そしてチーズのうま味が増し、余韻が非常に長く感じられたのも印象的。ほうじ茶はカフェインが少ないので、寝る前のくつろぎタイムのお供にもおすすめです。

紅茶と合わせると、マンステールの香りが引き立ち、紅茶がスパイスティーに変化するという意見がありました。マンステールの香りを楽しめる組み合わせですね。

賛否両論だったのは抹茶でした。抹茶の香りが「ハーブを添えたようだ」という意見もあれば、「抹茶の青臭さが強調されてしまう」との意見もありました。今回の抹茶が苦味の多いタイプだったので、もっと甘味のふくよかなタイプであれば、また印象が変わったかもしれません。

 

ゴルゴンゾーラ・ピカンテ(青カビタイプ、牛乳製)

gorgonzola and tea

イタリア料理でよく使われる青カビチーズ。中でもピカンテは、カビがびっしり入った辛口タイプ。しっかりした塩味とピリッとした青カビの刺激が特徴です。

煎茶 ☆☆☆
ほうじ茶 ☆
烏龍茶 ☆☆☆☆
紅茶 ☆
抹茶 ☆☆☆☆☆

ゴルゴンゾーラの塩味と抹茶の渋味が絶妙なバランスで、お互いの持つうま味を引き立て合いました。青カビに黒蜜などの甘味をプラスしても美味しいと思います。

烏龍茶と味わうと、ゴルゴンゾーラの塩味が烏龍茶の香りをまとって、「まるで塩キャラメルのよう」という表現が飛び出しました。ゴルゴンゾーラのリゾットやペンネを注文したら一緒に烏龍茶も頼んでみると良いかもしれません。

 

コンテ(ハードタイプ、牛乳製、8ヶ月熟成)

comte and tea

フランスで一番多くつくられているチーズ、コンテ。ナッツのような香りと栗のようなほくほくした美味しさは、日本人にも好まれる味わい。今回は穏やかで甘味とうま味のバランスが取れた8ヶ月熟成で試しました。

煎茶 ☆☆
ほうじ茶 ☆☆☆☆
烏龍茶 ☆☆☆☆
紅茶 ☆☆☆☆
抹茶 ☆☆☆☆☆

今回の実験で、「どのお茶にも合う!」という意見が一致したのが、このコンテ。どんなお茶も受け入れてくれる懐の深さに驚きました。

抹茶と合わせると、コンテと抹茶両方の甘味が増し、文句なしの美味しさでした。チーズはとても栄養価が高く、足りない成分は食物繊維とビタミンCだけと言われています。抹茶は茶葉そのものをいただくお茶なので、食物繊維やビタミンCが豊富。美味しくて栄養のバランスも良い最高の組み合わせです。

また、ほうじ茶、烏龍茶、紅茶のように香ばしい香りを放つお茶は、それぞれのお茶の香りが引き立ち、チーズのうま味を広げてくれました。濃厚な蜂蜜やジャムをつけたり、オリーブオイルを垂らしたり、ナッツと組み合わせたりと、色々楽しめそうです。

 

パルミジャーノ・レッジャーノ(ハードタイプ、牛乳製、24ヶ月熟成)

parmigiano reggiano and tea

イタリアでは「チーズの王様」と呼ばれている、歴史のある超硬質チーズ。そのまま砕いておつまみとして、また料理の調味料としても重宝されます。こちらも熟成による違いがありますが、今回は独特のパイナップルのような芳香を放つ長期熟成タイプで試しました。

煎茶 ☆☆☆
ほうじ茶 ☆☆☆☆
烏龍茶 ☆☆☆☆☆
紅茶 ☆☆
抹茶 ☆

烏龍茶のオリエンタルな香りと、パルミジャーノ・レッジャーノのトロピカルな香りが一体となり、新たな風味が生まれました。ほろほろした食感も相まって「台湾名物のパイナップルケーキのようだ」とのコメントも聞かれました。今回は常温の烏龍茶と合わせましたが、暑い夏に、冷たい烏龍茶と合わせるのも良いかもしれません。

ほうじ茶の香ばしさと酸味がパルミジャーノ・レッジャーノの香りと溶け合い、風味のふくよかさが増しました。こちらは「例えるならシュラスコに出てくる焼きパイン」という意見もありました。

このチーズの持つフルーツのような香りは、「煎茶と合わせるとレモングラスのよう」という表現もありました。

 

tasting of cheese and tea

後編では、より香りやうま味のしっかりしたチーズとお茶を合わせました。前編では香りがポイントと書きましたが、後編のチーズになると、香りに加えて双方のうま味がどう溶け合うか、これが合わせる上でのヒントになるようです。

チーズもお茶も個体差があり、人の味覚も様々なので一概に「正解はこれ!」とは言えません。違う意見が出ることもありましたが、合わせることで、より美味しくなったり新たな風味が生まれたりという驚きや発見は、一致することが多かったのも事実です。

また、ワインなどと違い、温度帯の高いお茶と組み合わせることで、チーズの香りが引き立ち口どけも変化する、ということも大きな特長です。

みなさんも、色んなシーンでお茶とチーズの素敵な出会いを楽しんでみてください。
そして、毎日チーズをたくさん食べましょう!

yurika-oowada
天花寺歩美(てんげじ あゆみ)
チーズの多様性や奥深さに魅せられ、日々の生活にチーズを取り入れるなかで、チーズを食材や飲み物と合わせることに関心を持ち、その味わいの変化や相乗効果を探求。茶道の経験を活かし、チーズとお茶のペアリングをテーマとしたセミナーも行う。C.P.A.認定 チーズプロフェッショナル、C.P.A. チーズ検定講師、J.S.A.認定 ワインエキスパート、茶道裏千家 助教授、S.S.I.認定 唎酒師。

 

チーズとのペアリングを楽しむ

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