六本木ヒルズの裏通り「六本木けやき坂通り」にある人気ベーカリーカフェ「bricolage bread & co.(ブリコラージュ ブレッド&カンパニー)」。こちらは、2018年に大阪のブーランジェリー「Le Sucre Coeur (ル・シュクレクール)」、昨年初の三つ星に輝いた西麻布のフレンチレストラン「L’Effervescence(レフェルヴェソンス)」、ノルウェー発のコーヒーショップ「FUGLEN TOKYO(フグレントウキョウ)」のコラボレーションにより誕生したお店です。
「パンの豊かさを体験して欲しい」という思いで作られた店内には、パンが並ぶダイナミックなL字カウンターにコーヒースタンドやセレクトアイテムが並ぶショーケース、奥にはカフェスペースとテラス席(施設の共有スペース)もあり、テイクアウトでも、イートインでも楽しめる空間となっています。
今回は、このお店でシェフを務める藤井匠さんにインタビューさせていただきました。
―お店が誕生したきっかけを教えてください。
東日本大震災後の2012年、東北で行った炊き出しが全ての始まりです。「L’Effervescence」シェフの生江史伸が作ったホワイトソースの煮込みハンバーグを「Le Sucre Coeur」店主の岩永歩が作った真っ赤なビーツのパンに挟み、仮設住宅で避難生活をされている方々に提供しました。
これをきっかけに「いつかまた一緒に何かをやりたい」という思いが膨らみ、新たなコラボレーションが実現しました。レフェルヴェソンスよりも間口を広くし、日常的な利用動機に応えることで多くのお客様に貢献していきたいと考えてはじめたお店です。
「bricolage」はフランス語ですが、英語で「DIY(Do It Yourself)」を意味します。自分たちがやりたいことや欲しいもの、実際に過ごしたい空間を自分たちで作り出そうという思いから名付けられました。
―素敵な誕生ストーリーですね!「bricolage bread & co.」ではどのようなお料理を楽しめますか。
ベーカリーに併設したカフェであることから、パンに合わせたお料理を中心に提供しています。フルーツサンドやタルティーヌ、ハンバーガーなどのパンを主役としたお料理の他、ワインに合わせたシャルキュトリーやグリル料理などパンと一緒に楽しめるものをラインナップしています。
お客様もふらっとパンとコーヒーを買いに立ち寄ってくださる方もいれば、サンドイッチ片手に仕事をされる方、インスタを見てプレートメニュー目掛けて来店する方など様々です。
―色々な使い方ができるのはお客様からしても嬉しいですね。CHEESE STANDのチーズを使ったメニューも教えていただけますか。
国産の全粒粉で作ったもっちり食感の「ブリコラージュ ブレッド」にCHEESESTANDのモッツァレラチーズといちじくをまるっと一個分のせた「いちじくとモッツァレラチーズのタルティーヌ」です。
「ブリコラージュ ブレッド」は、お店の顔でもあるシグネチャーブレッドで、ベーカリーで販売も行なっています。
厚くスライスしたパンの上に、イチジクとモッツァレラをたっぷりとのせ、愛媛県産の蜂蜜にレモンピール、オリーブオイル、ピスタチオ、最後にミントをトッピングして完成です。
タルティーヌは、季節ごとに旬のフルーツや野菜を乗せて提供している定番メニューのひとつで、秋に提供するいちじくとモッツァレラの組み合わせは毎年ファンが集う人気メニューで、一日に最大50皿ものオーダーをいただいたこともあります。
そのほか、季節限定のフルーツプレートにもCHEESESTANDのチーズを使わせていただきました。こちらは「ブッラータとシャインマスカットとピオーネ」。オリーブオイルと蜂蜜、塩胡椒でシンプルに仕上げたフルーツカプレーゼです。
―どちらも美味しそうです!CHEESE STANDのチーズはどんなご縁でお取り扱いいただけるようになりましたか。
新型コロナウイルスの感染拡大中、「bricolage bread & co.」のオーナー石田が携わる、医療現場に無料で食事を届ける「Smile Food Project(スマイル フード プロジェクト)」にチーズを提供していただいたご縁でお取引が始まりました。
当時、「bricolage bread & co.」では、コロナでお客様が外に出歩きづらい日々が続く中、パンと一緒にお持ち帰りできるアイテムを充実化させようと冷蔵のショーケースを導入しました。その時に、質の高い生産者の商品をセレクトしていく中で、CHEESE STANDのチーズを選ばせていただくことになりました。
ちょうどその時、次のカフェメニューを考えていた時期でもあったので、イートインメニューでも使わせていただく事にしました。料理のオーダーもさる事ながら、ショーケースのブッラータがとにかく人気で驚いています。チーズだけ買いに来られる方もいるほどです!
僕自身、3、4年前に渋谷にチーズのお店があることを耳にし、実際に行って食べたことがあったんです。出来たてのモッツァレラのフレッシュ感とミルキーさにとにかく驚いた記憶があります。
リコッタチーズは、輸入品とCHEESE STANDのリコッタチーズを比べたりもしたんですが、CHEESE STANDの出来たてリコッタが一番ミルキーで、乳製品を食べてる!って感じがしました。牛ちゃんも可愛いですよね♪
チーズ専門店はデパ地下などに沢山ありますが、近郊から牛乳を仕入れて都内で作るスタイルはなかなかないので貴重な存在だなと思っていました。
―藤井さんが食材を選ぶポイントを教えてください。
なるべく国産のものを使う事。かつ、顔が見える生産者であることを大切にしています。これは、「L’Effervescence」シェフの生江から学んだことでもあります。北は北海道の礼文島、南は与那国島まで、実際にお会いし、その思いに共感した生産者の食材を使っています。美味しい、美味しくないはもちろんですが、それ以上に人柄や思いを重視しています。
また、季節感はもちろんのこと、カジュアルなお店なので、高級なものよりは馴染みのあるものを主軸に食材選びを行なっています。
―そうなんですね。藤井さんも系列店ご出身なのでしょうか?
実は僕、ちょっと変わった経歴を持っているんです。元々は、東京の大学を卒業してから、塾の先生をやっていたんです。いろいろな生徒さんを担当していく中で、まだまだ未熟な自分が生徒さんを教える立場にいる事に違和感を抱くようになり、他の仕事を考え初めました。
色々と悩んだ結果、両親が共働きで子供の頃から料理を作っていたこともあり、好きな料理の道に進むことを決めました。料理の経験は長い方でしたが、専門学校を卒業した訳でもなく趣味の延長線で始めた仕事は、決して甘いものではありませんでした。実際に現場に立ってみると、知識の低さに周りのスピードについていけず、先輩からは怒られる毎日。一度は諦めてしまおうとすら思ったこともあります。
どうしようか悩んでいたときに、友人の家で自分が作った料理を食べてもらう機会があったんです。自信をなくしていた自分に「美味しいね!」と声をかけてくれたとき、とにかく嬉しくてもう一度頑張ってみようと思えたんです。今は続けてよかったなと思っています。
自分たちが作る料理を食べて笑顔になってくださるお客様の反応を見るのが何よりも嬉しく、誇らしい仕事だと思っています。もっともっと皆さんに喜んでいただける料理を提供していきたいです。
※本記事で紹介するメニューは取材当時のもので、現在は提供していない可能性がございます。
藤井匠さん
中央大学で心理学を学ぶ。独学で調理師免許を取得、都内のレストランで修行後、カフェラウンジ「INTERSECT BY LEXUS」で副料理長として勤務。その後「bricolage bread & co.」のオープニングスタッフとして料理長に就任。
bricolage bread & co.
東京都港区六本木6丁目15-1 けやき坂テラス 1F
TEL: 03-6804-3350
営業時間:Bakery 8:00-20:00、Restaurant & Coffee 8:00-21:00
定休日:月
https://bricolagebread.com
photo by 石原哲人
シリーズ《CHEF’S VOICE》
チーズを料理に生かす、プロフェッショナルたち。
- 「東京ブッラータ」はFRESH CHEESE Delivery(オンラインショップ)で
- 生クリームと繊維状にカットしたモッツァレラを、フレッシュなモッツァレラの生地で巾着状に包んだイタリア・プーリア州発祥のブッラータ。新鮮さが重要なため流通量が少ないにも関わらず、イタリア好き、チーズ好きの方には愛されてやまない特別なチーズです。ご注文はこちらから。
http://fcd.cheese-stand.com/