2020年夏、広尾駅前にオープンした「EAT PLAY WORKS」。こちらは、シェアオフィス、飲食店、メンバーズラウンジが同居する複合施設です。
この施設の2階にある「Bistro Némot (ビストロネモ )」は、前回の〈CHEF’S VOICE〉でご紹介させて頂いたベーカリーカフェ「bricolage bread & co.(ブリコラージュ ブレッド&カンパニー)」の系列であり、西麻布の三つ星フレンチレストラン「L’Effervescence(レフェルヴェソンス)」のスーシェフを務めた根本憲仁さんが手掛けるお店。
今回は、「Bistro Némot」のオープンにあわせて独立された、根本シェフにお話を伺いました。
―「Bistro Némot」はどのようなコンセプトのお店でしょうか。
「Bistro Némot」は、クラシックなフランス料理を提供するビストロです。カウンター席を中心に、カジュアルでありながら本格的なフランス料理を楽しめます。あらゆる生産者さんたちとのつながりを通じて、素直に「美味しい」と思えるものを提供していくことを大切にしています。
最近は、イノベーティブやフュージョンのお店が増える中、クラシックな料理を提供するお店が減少傾向にあるように思えます。そんな中、歴史あるフランス料理の魅力をこれからの時代にも引き継いでいきたいという想いでこのお店を作りました。
「Bistro Némot」の立ち上げは、社内で新しくスタートした「独立支援制度」を活用しているので、完全独立というかたちではありませんが、経営などを学びながら独立できる環境は非常に恵まれていると思います。
―魅力的な制度ですね!CHEESE STANDのチーズのお取り扱いはどのような経緯でスタートしたのでしょうか。
CHEESE STANDは、新型コロナウイルスの感染拡大中、医療現場に無料で食事を届ける「Smile Food Project(スマイル フード プロジェクト)」への参画を通じて知りました。
当時は、自分が直接お取り引きさせていただくことになるとは思っていませんでしたが、このプロジェクトでご一緒させていただいたシェフの皆さんが使用されていると聞いてずっと気になっていました。
既に多くのシェフが使用されているとのことだったので、手に入れるのは難しいんだろうなと思っていましたが、ダメもとで相談してみると、すんなりご承諾いただけて、お取り扱いがスタートしました。
フレッシュチーズは、鮮度が命だと思う中で、輸入品に頼ると手元に届いたときには鮮度が落ちてしまっていることが多いんです。そんな中、こんなにフレッシュな状態で手に入るなんで魅力的だと思いました。
―CHEESE STANDのチーズは食べてみていかがですか?
素直に「おいしいじゃん!」って思いました。
特にリコッタチーズは、万能プレーヤーだと思います。味が強いものと一緒に使うと口の中をリセットしてくれるし、箸休めにもなります。リコッタチーズは水っぽいものも多いですが、CHEESE STANDのものは味がしっかりして、キメも細かく、いい感じにホロホロしていて程よい水分量だと思います。
いつかこのリコッタを使ってニョッキなども作ってみたいですね!本来ニョッキはプリッとしているものですが、このリコッタで作るとどうなるんだろう?なんて想像するだけでもワクワクします。
ストラッチャテッラ(ブッラータの中身)もサンプルを頂いたので、今後どのように使っていくか、色々とテスト中です。クリスマスなどのイベントごとに合いそうですね。
―CHEESE STANDのチーズを使ったメニューをご紹介いただけますか?
一つ目は「Némotの海の幸サラダ」です。福島県・郡山にある「鈴木農場」さんから届くミックスハーブと魚介を使ったマリネのサラダです。「鈴木農場」には、若手の農家さんがいらっしゃるんですが、毎日のように連絡をいただき、その日採れた美味しい野菜を紹介してくださるんです。
ハーブの上には、水だこ、帆立、えびをのせて、CHEESE STANDのリコッタチーズをたっぷりトッピングします。そして最後に柑橘系のヴィネグレットで仕上げます。トマトは酸味が強いので、リコッタをのせると味がまろやかになるんです。
もう一品は、「チーズスタンドのモッツァレラとトマトのコンポート」です。「プチぷよ」と呼ばれるサクランボのような食感のトマトにモッツァレラを合わせます。
普通のトマトだと皮が厚くてモッツァレラが負けてしまいがちですが、この「プチぷよ」なら塩をかけるだけおいしいです。シンプルな料理ですが、モッツァレラのポテンシャルを生かすのはやっぱりこの組み合わせだと思っています。
ーこれらメニューはどのように考案されているんですか?
日々、自分で食べて美味しかったものや料理本を見て作ってみたいものなどを情報として頭の中に蓄積していて、参考にしながら自分なりのアレンジを加えて形にしていきます。食材は、良いものであることはもちろんですが、想いに共感したり、顔が見える生産者さんのものを中心に使わせていただいています。
「Bistro Némot」では、ワインのセレクトも僕が行っています。最近はワインに詳しいシェフも増えているように感じますが、料理を作った本人がその料理に合うワインを一番わかっていると思うんです。料理人が提供すると説得力もありますし、お客さんも安心してくれるような気がします。
自分自身ワインがとても好きで、赤も白もオレンジワインもナチュールも飲みます。ナチュールは、2年ぐらいハマった時期もありましたが、今はクラシックなものも飲みますし、両方おいしいと思うので、それぞれの料理に一番合うものを提案させていただいています。
料理はもちろんですが、ぜひワインとのマリアージュも楽しんでいただけたら嬉しいです。
※本記事で紹介するメニューは取材当時のもので、現在は提供していない可能性がございます。
根本憲仁さん
1984年生まれ、福島県郡山市出身。調理師専門学校卒業後、都内のホテルやフランス料理店で修業。2014年から「L’Effervescence」へ。2016年よりスーシェフを務める。2020年7月に広尾EAT PLAY WORKS内に「Bistro Némot」をオープン。
Bistro Némot
東京都渋谷区広尾5-4-16 EAT PLAY WORKS 2F
TEL: 03-6447-7131
営業時間:15:00~23:00
定休日:水
https://therestaurant-hiroo.com/shop/nemot/
photo by 石原哲人
シリーズ《CHEF’S VOICE》
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